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8月21日のニュース

汚染水漏れで「レベル3」検討

  • 汚染水貯蔵タンク
  • 4号機

福島第一原子力発電所でタンクから300トン余りの高濃度の汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は、漏れ出た放射性物質が数千兆ベクレル程度と、かなりの量になるとみられることから、原子力事故の深刻さを表す評価を8段階に分けられた国際的な評価基準で上から5番目の「レベル3」に当初から2段階引き上げることを検討することになりました。
福島第一原発では19日、4号機の山側のタンクから、高濃度の放射性物質を含む汚染水が周辺に漏れているのが見つかり、当初、原子力規制委員会は国際的な原子力事故の評価基準に基づいて「レベル7」から「レベル0」まで8段階あるうち下から2番目の「レベル1」と暫定的に評価していました。
この評価が21日、原子力規制委員会の会合で議論され、漏れた汚染水が300トン余りに上り、含まれる放射性物質が数千兆ベクレル程度とかなりの量になることが分かったことから、2段階引き上げ、上から5番目の「レベル3」とすることを検討することになりました。
「レベル3」は「重大な異常事象」とされ、平成9年に茨城県東海村で当時の動燃=動力炉核燃料開発事業団の再処理工場で火災と爆発が起きて放射能が漏れ、作業員37人が被ばくした事故が該当します。
平成11年に同じく東海村の核燃料加工施設JCOで起きた臨界事故は作業員2人が被ばくして死亡し、1つ上の「レベル4」と評価されています。
今回の汚染水漏れは、「深刻な事故」に当たる最も上の「レベル7」と評価されている福島第一の事故そのものに含めるべきだという考え方もあるため、今後、IAEA=国際原子力機関の意見も聞きながら検討されます。

【規制委員長「他のタンクの点検早急に」】
福島第一原発でタンクから高濃度の汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、会見で、「ほかのタンクでも同じことが起きるという前提で注意深く対応すべきだ」と述べ、敷地内におよそ350基ある同じ構造のタンクの点検を早急に行う必要があるという考えを示しました。
田中委員長は、21日の定例会見で、福島第一原発に今回水漏れが起きたのと同じ構造のタンクがおよそ350基あることに触れ、「1つのタンクで水漏れが起きれば、ほかのタンクでも同じことが起きるという前提で注意深く対応すべきだ」と述べ、すべてのタンクの点検を早急に行う必要があるという考えを示しました。
そのうえで、「これ以上の事態にならないよう最善を尽くすしかないので、東京電力や経済産業省に対応を促し、われわれも知恵を絞りたい」と述べました。
また、原子力規制庁の担当者はタンクから水漏れがないか目で見て確かめるチェックを水漏れが分かりにくい雨の日に行うなど、これまでにも不十分な点があり、改善するよう指導したことを明らかにしました。
そのうえで、「施工や管理に不十分な点があったことを認識したうえで対応する必要がある」と述べ、見回りなどの監視態勢を強化を指示したことを説明しました。

【官房長官「漏えい止めることに全力尽くす」】
また、菅官房長官は、閣議の後の記者会見で、「このような漏洩の発生はきわめて遺憾であり、政府全体で早急に汚染水の漏えいを止めることに全力を尽くしていく」と述べました。

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