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7月26日のニュース

東電の流出対応に厳しい批判

  • 井戸

福島第一原子力発電所で放射性物質を含む地下水が海に流出している問題などを巡り、東京電力は、リスク管理に甘さがあったことを認める報告書を、外部の専門家で作る社内改革の委員会に提出しました。
流出を認める判断が遅れたことについては、漁業への風評被害を懸念したためで、問題があったとしており、出席した専門家からは厳しい批判を受けました。
東京電力は、ことし3月、安全意識やトラブル対応を見直す社内改革のプランを策定し、原子力の安全規制に詳しい外部の専門家などで作る委員会に改革の取り組みを定期的に報告することにしています。
26日は委員会にこれまでの対応をまとめた報告書が初めて提出されました。
この中で、ことし5月以降、海に近い井戸の地下水や港の海水で、放射性物質の濃度が上昇していることが分かってから、海への流出を認めるまで1か月以上かかったことについて、「風評被害を懸念したため、リスクを積極的に伝える姿勢より、最終的な根拠となるデータが出るまで判断を保留することが優先された」と情報公開の姿勢に問題があったとしています。
また、原因の1つと指摘されている地下のトンネル内の汚染水については、事故直後から把握していたにもかかわらず、「具体的な対策検討が不十分だった」として、リスクを放置していたことを認めています。
そのうえで、経営層全体のリスク管理の甘さや会社の考え方と社会との間にずれがあったとして、「不安や懸念を生む場合でもリスクの公表を優先する」よう対応を改善する方針を示しました。
記者会見で東京電力の廣瀬社長は、「リスクを社会に伝える取り組みを進めているが、全く不十分で大変申し訳ない。事故の教訓を生かした対応ができておらず、安全文化も変わったとは言えない状況で、痛恨の極みだ」と述べ、陳謝しました。
アメリカの原発の規制当局のトップを務めたことがある委員会のデイル・クライン委員長は、「非常に落胆した。廃炉に向け多くの作業員が必死に対応に当たっているが、会社全体の広報のまずさがその努力をないがしろにしている」と東京電力の姿勢を厳しく批判したうえで、安全文化が根づくよう実効性を伴う改革を求めました。

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