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9月14日のニュース

除染基準見直し “助言”3か月先送り

去年3月の原発事故の直後、住民を除染するかどうか判断するための基準の値が、一時的に緩和されましたが、原子力安全委員会が事故から3か月後に以前の値に戻すよう助言の検討を始めたところ、国の現地対策本部などから反対があり、助言を出すのがさらに3か月間、先送りされていたことが分かりました。
福島第一原発の事故直後、警戒区域から避難する住民は放射性物質に汚染されていないか検査を受け、基準の値を超えた場合、除染することになっていますが、事故で周辺の放射線量が高まり基準超えが相次いだことから、国の現地対策本部が基準を緩和しました。
ところが、この基準を巡り、去年5月下旬に原子力安全委員会が「緩和した状態が長く続くと汚染を拡大するおそれがある」として、以前の値に戻すよう助言の検討を始めたところ、国の現地対策本部や福島県から反対意見が出され、助言を出すのが3か月間、先送りされたことがNHKが入手した当時のやり取りなどを記録した文書から分かりました。
やり取りには、「基準を厳しくすると除染の必要な車が大量に発生する」とか、「除染施設が少なく、基準を超えたものは除染できずに持ち出せなくなる」などがあり、当時、現地の対策本部長を務めた経済産業省の田嶋政務官からは「依頼者の意向に沿った助言を願う」などの意見が出されていました。
原子力安全委員会などによりますと、去年4月下旬以降、検査でもとの基準を超えるケースはほとんど出ていなかったということで、結果的に大きな影響はなかったとみられますが、専門的な立場からの助言を現場の実情と合わせながらどう生かすのか、近く発足する原子力規制委員会にとっても大きな課題となります。

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