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東電前社長 全員撤退は考えず

東京電力の清水前社長は、国会の原発事故調査委員会に参考人として出席し、菅前総理大臣ら当時の政権幹部が作業員全員の撤退を打診されたという認識を示していることについて、全員の撤退は考えていなかったと強調する一方で、みずからの意図が正確に伝わっていなかった可能性もあるという認識を示しました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、菅前総理大臣や官房長官を務めていた枝野経済産業大臣ら当時の政権幹部は、東京電力から「作業員全員の撤退を打診された」という認識を示していますが、東京電力側は打診していないと主張しており、双方の言い分が食い違っています。
これについて、東京電力の清水前社長は、国会の原発事故調査委員会に参考人として出席し、「大変厳しい状況がこのまま続くとすれば、全員ではなく、一部を残して退避は検討する必要があるという認識はあった。事務系の人間や女子社員も含め現場に700人程度いたと思うが、緊急作業に携わらない人間は、一時的にせよ福島第二原発への退避を考え、そういう認識で進めていた」と述べ、全員の撤退は考えていなかったと強調しました。
そのうえで清水前社長は、「『全員』とか、『撤退』ということばは使っていない。一部の人間を残しながら作業を進めるという大前提で申し上げているので、受け手の側がどう受け止めるか推し量るのは難しい。切迫した中でのやり取りなので、ことばのやり取りにずれがあったのかもしれない」と述べ、みずからの意図が正確に伝わっていなかった可能性もあるという認識を示しました。
また清水前社長は、政府側に一部の作業員を残すと明確に伝えたのかと質問されたのに対し、「『一部』と言ったかどうかは、あいまいさが残る。一部を残してという共通認識の下で進めてきて、その趣旨で伝えた。こういう行き違いがあったことは、本意ではなかった」と述べました。
さらに清水前社長は、事故直後に菅前総理大臣が東京電力の本店を訪れた際の発言について、「一つは『撤退すれば、東京電力は100%つぶれる』と。もう一つは『60歳以上の幹部は現地に行って死んでもいいんだ』と言われた。大変、厳しい口調で、現場で死力を尽くしている人たちは打ちのめされるような印象を持つんじゃないかと感じた」と述べました。

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