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2月28日のニュース

原発事故 民間事故調が報告書

東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証を進めてきた、民間の事故調査委員会が、28日、日米の政府関係者などおよそ300人からの聞き取りを基にした報告書を公表し、政府の危機管理の課題のほか、適切な対応を行えなかった官僚機構や東京電力の問題についても指摘しました。
民間事故調=「福島原発事故独立検証委員会」は、科学技術振興機構前理事長の北澤宏一氏や元検事総長の但木敬一氏ら6人の有識者が委員を務め、国から独立した立場で、去年3月に起きた原発事故の検証を進めてきました。
28日に公表された報告書は、菅前総理大臣をはじめ、事故の対応を中心となって行った政治家や官僚、それにアメリカの政府高官など、およそ300人の聞き取りを基に作成されましたが、東京電力は調査に応じませんでした。
報告書では、政府の危機管理について、原子力災害が地震や津波と同時に発生することを想定しておらず、マニュアルが機能しなかったうえ、政治家たちの法律に関する基本的知識も乏しく、場当たり的、泥縄的な対応を続けたと批判しています。
そのうえで、今後に向けた課題として、情報収集の遅れや混乱により、正確な情報が官邸に届かなかったことや、政治家にアドバイスする専門家のサポート体制がぜい弱だったことなどを挙げ、早急に改善に向けた議論を始めるべきだとしています。
また、原子力発電所を所管する経済産業省の原子力安全・保安院については、組織の中で安全規制のプロが育っていないため、人材も理念も乏しく、今回の事故では、収束に向けた専門的な企画・立案も行えなかったと、厳しく指摘しました。
さらに、東京電力については、事故発生後、原子炉を冷却する非常用復水器が働いていないことに気付かず、代わりとなる冷却もすぐには始めなかったうえ、大きな危機を回避するためのベント作業にも手間取ったとして、事故拡大の要因を作ったと指摘しています。
民間事故調の北澤委員長は「調査を通して、官邸などで何が起きていたのか分かった。日本の組織は危機への対応に適した形になっていないので、今後は、危機のときにすぐ体制を切り替えられるよう、対策を取るべきだ」と話しています。

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