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11月8日のニュース

原発事故コスト 1.6円に

原子力発電にかかるコストを検討してきた国の原子力委員会は、先月示した事故による追加的なコストを見直して、1キロワットアワー当たり最大で1.6円とする結論をまとめました。
また、広範囲にわたる除染費用などを考慮する場合、損失額が1兆円増えるごとに、コストが最大で0.32円ずつ上積みされるという新たな見解も盛り込みました。
原子力委員会は、福島第一原発の事故を踏まえて、深刻な事故が起きる確率と事故対応にかかる損失額を基に発電コストの追加分を試算し、先月、1キロワットアワー当たり最大で1.2円とする案を示しましたが、損失額などで異論が相次ぎ改めて試算しました。
それによりますと、損失額は、避難や風評の対策にかかる費用の見直しで、前回より1兆円余り多い4兆9900億円に引き上げました。
この結果、事故による追加的なコストは、1キロワットアワー当たり最大で1.6円とする結論をまとめました。
原発の発電コストは、政府が示した過去の試算では「5円から6円」とされてきましたが、追加分を加えると最大で7.6円となり、「液化天然ガスを使った火力」の「6円から7円」を上回ります。
また、森林を含む広範囲にわたる除染や廃棄物の保管などの費用は、現時点で金額が正確に分からないとしてコストに直接含みませんでしたが、損失額が1兆円増えるごとにコストが最大で0.32円ずつ上積みされるという新たな見解も盛り込みました。
この結論は、近く、エネルギー政策の見直しを行っている政府の委員会に報告され、今後は、除染などのコストをいかに反映させるかが課題となります。
座長を務める鈴木達治郎原子力委員長代理は「除染費用は、将来的に金額が確定した段階で計算できる仕組みにした。今回の結論は、不確実性が高いなかでの試算だと考えてほしい」と話しています。

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