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10月9日のニュース

子どもの健康観察 長期間必要

原発事故で放出された放射性ヨウ素は、特に子どもの甲状腺に蓄積してがんを引き起こすことがあるため、被ばくしたおそれのある子どもたちは長期にわたる健康観察が必要です。
チェルノブイリ原発事故では、周辺地域の子どもたちが主に牛乳や乳製品などを通じて放射性ヨウ素を取り込んだとされています。
国連の専門委員会は、このうち6000人が甲状腺がんになり、2006年までに15人が死亡したという報告書をまとめています。
一方、日本では甲状腺がんと診断される子どもは毎年5人程度で、成人するまでに発症する割合が20万人に1人と極めてまれな病気です。
このため乳幼児や児童、生徒を対象にした健康診断では、通常、甲状腺の検査は行われておらず、一般にどれくらいの割合で甲状腺に異常のある子どもがいるかは分かっていません。
また、放射線の影響でがんになるまでには少なくとも数年はかかるとされ、実際にチェルノブイリ周辺で子どもの甲状腺がんが増え始めたのは事故の4年後からでした。
こうしたことから専門家の多くは、今回の検査で異常が見つかっても事故の影響とは考えにくいとしたうえで、被ばくしたおそれのあるすべての子どもについて長期にわたる健康観察が必要だと指摘しています。
放射線の人体への影響に詳しい広島大学原爆放射線医科学研究所の田代聡教授は「放射線の影響が出るとは考えにくい現在の段階で、もともとどれくらい甲状腺に異常のある子どもがいるのか、調べておく必要がある。健康への不安を解消するためには、検査を継続し、異常が出れば早期に対応するといった支援が必要だ」と話しています。

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