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8月4日のニュース

原発廃炉への道筋 検討始まる

東京電力福島第一原子力発電所の事故の収束後に、原発の廃炉をどう進めるか、検討が始まりました。参考にされたのが、32年前に事故を起こしたアメリカのスリーマイル島原発ですが、専門家は、福島第一原発の状態は、より深刻で、作業には長い期間がかかるという見通しを示しました。福島第一原発の廃炉に向けて、国の原子力委員会が新たに設置した専門部会の初会合が、3日、開かれ、近藤駿介委員長が、「原発の廃止措置に向けて、中長期の取り組みに着手しなければならない」と述べました。部会では、32年前の1979年に起きたアメリカ・スリーマイル島原発事故を参考に、メルトダウンした、燃料の取り出しを当面の目標に、遅くとも来年1月までに工程表をとりまとめることになりました。しかし、福島第一原発の場合、溶けた燃料がどこに、どのような状態でたまっているのか、分かっていないほか、メルトダウンした原子炉が3基あり、状態はより深刻です。専門部会の部会長の山名元京都大学教授は、「スリーマイル島の事故よりも、炉心の損傷が激しいため、燃料を取り出すまでの助走期間が長くかかると思う。この仕事は、20年とか非常に長いスパンで行われることになる」と話し、より時間がかかるという見通しを示しました。アメリカ・スリーマイル島原発事故の日米共同研究で、日本側の代表を務めた早瀬佑一氏によりますと、福島第一原発の廃炉に向けては、基本的にスリーマイル島原発と同じ工程が考えられるとしていますが、核燃料の状態など状況は深刻で、より時間がかかるとみています。早瀬氏によりますと、スリーマイル島原発事故は、商業用の原発で核燃料がメルトダウンした世界で初めてのケースで、手探りの中で復旧作業が進められました。原発内の放射線量が高く、原子炉を覆う格納容器に作業員が初めて入ることができたのは、事故から1年半後、核燃料の状態を確認するための原子炉の中のビデオ撮影に成功したのは、事故から3年もたっていました。また、福島第一原発と同じように事故直後から放射性物質に汚染された水の処理に悩まされ、すべての汚染水の処理を終えるのに3年半かかりました。その後、原子炉の中の水に微生物が繁殖する思わぬトラブルが発生し、燃料の取り出しに向けた準備に遅れが出たということです。実際に燃料の取り出しが始まったのは事故から6年後。すべての燃料が取り出されたのは事故から11年後でした。早瀬氏は、福島第一原発でも基本的に同じ工程が考えられるとしています。しかし、福島第一原発の場合、壊れた燃料の大部分が原子炉内にとどまっていたスリーマイル島原発に比べて、格納容器が壊れて燃料がどのような状態になっているのか状況が分からないうえ、メルトダウンした原子炉が3基もあることから、状況は深刻だとして廃炉に向けた作業は、より時間がかかるとみています。

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