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7月19日のニュース

原発賠償マニュアル 周知せず

東京電力福島第一原子力発電所の事故では、被害を受けた人への賠償をいかに早く進めるかが課題となっていますが、文部科学省が被害者の救済をスムーズに行うために「運用マニュアル」を作成しながら、自治体などにほとんど周知していなかったことが分かりました。           
この運用マニュアルは、文部科学省が原発事故が起きた際に、被害者への賠償を速やかに進めるため、平成11年に起きた茨城県東海村の臨界事故を教訓におととし作りました。
甚大な事故が起きた場合、事業者だけでは、ばく大な数に上る損害賠償に十分対応できないことから、国や自治体の支援が重要だとして、それぞれの役割や対応を具体的に定め、早期の支払いにつなげるのがねらいとなっていました。
ところがこのマニュアルが原発のある県や電力会社に郵送されただけで、福島県内の各自治体や、農協などの関係団体には周知されず、事故への対応に十分生かされていないことが分かりました。
マニュアルでは、初動対応として、住民からの相談に応じる態勢を自治体が整えることや、被害の申し出を受け付ける窓口の設置など、万一の際に、素早く対応するための方策が細かく定められていました。
しかし、実際には対応は遅く、賠償の一部としての仮払いが始まったのは、事故から1か月以上がたった4月下旬で、しかも政府からの要請での実施でした。
事故のあと文部科学省は、県などにマニュアルの説明を行ったとしていますが、いまだに被害者の側に立った十分な対応が行われているとは言えません。
これについて、文部科学省の板倉康洋次長は「東海村の事故と今回の対応はかなり違った部分があり、マニュアルどおりにならないところもある。今回の事故も踏まえた取り組みを考えていきたい」と話しています。

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