東京電力福島第一原子力発電所を巡る、政府の事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長が会見し、国や東京電力が古い考えを改めなかったことが事故の要因の一つだとして、その原因を調査する考えを明らかにしました。
畑村委員長は4日、東京の日本外国特派員協会で会見し、「今回の事故は想定外のことが起きたと説明されるが、実は当然考えなければいけない事柄が考えられてこなかったために起きてしまったとも言える」と述べました。
そのうえで、およそ千年前にこの地域を巨大津波が襲ったとする研究から、津波の危険性を警告する人がいたのに、東京電力が対応していなかったことや、40年ほど前に決めた国の安全基準が、時代が変わってもそのままにされていたことが、事故の要因の一つだと指摘し、その原因を調査する考えを明らかにしました。
また、海外メディアの記者から「処罰につながる調査をすべきではないか」といった質問が出されましたが、「責任を追及しようとすると、大事なことは聞き出せない。将来の世代からは、処罰を目的にした調査は全体を捉えるには不十分だったと評価されると思う」と述べて、責任の追及ではなく、事実の解明を優先する考えを強調しました。
政府の事故調査・検証委員会は、今月8日に2回目の会合が開かれる予定です。
事故調査・検証委 国と東電の考え方を調査へ
7月4日19時45分更新