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6月22日のニュース

原発の安全指針 見直し始まる

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、国の原子力安全委員会は、原発の安全を守るための礎となる「安全指針」について見直す作業を始めました。
これまでの指針は、福島第一原発のような過酷な事故への対策が不十分で、抜本的な見直しとともに、いかに国民の理解を得ていくかが問われています。
22日、東京・千代田区で開かれた原子力安全委員会の会議には、原子力や放射線、それに法律などの専門家、18人が集まりました。
初めに、原子力安全委員会の班目春樹委員長が「今回のような過酷な事故への対策は、国際的に見ても足りない部分があった。抜本的に見直すには十分な議論が必要だが、合意が得られたところから改定していきたい」と述べました。
安全指針は原発の安全を守るための礎ですが、これまでの指針では、福島第一原発で事故の拡大につながった「電源喪失」について、「長時間にわたる喪失は考慮する必要がない」と書かれているほか、避難などの「防災対策」についても、原発の場合、「8キロから10キロ」と定めていて、今回の事故のような広範囲な避難を想定していませんでした。
会議に参加した委員からは、これまでの指針について、「すべての機器が同時に壊れることを想定していなかったことが問題だ」とか、「ほかの分野に比べて安全面での技術革新を滞らせていたのではないか」といった意見が出たほか、今後の見直しについて、「世界最高水準の安全を目指すという原則を、指針の上に明示するべきだ」といった声が聞かれました。
今回の見直しでは、IAEA=国際原子力機関で議論されている国際的な安全基準についても参考にしながら議論をしていくことになります。
原子力安全委員会は、今年度内に見直す項目を整理し、2、3年かけて抜本的な改定を行うとしていますが、見直しの内容とともに、いかに国民の理解を得ていくかが問われています。

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