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6月4日のニュース

事故直後のデータを公表せず

東京電力福島第一原子力発電所の事故直後に、避難などの対策に生かすため実施された緊急時モニタリングのデータの一部が公表されていなかったことが分かりました。
核燃料が溶けた際に出る放射性物質が発電所の外で検出されたことを示す重要なデータなども含まれ、住民の避難などに役立てられた可能性がありますが、経済産業省の原子力安全・保安院は「データがどれだけ役立ったかは現時点では分からない。当時、公表しようという考えに至らなかったことは深く反省している」としています。
公表されていなかったのは、避難や飲食物の摂取制限など、住民の防護対策を決める際の参考にするため、発電所周辺で国や福島県によって行われた「緊急時モニタリング」のデータの一部です。
このうち、大気中のちりなどに含まれる放射性物質の調査では、事故の翌日の3月12日午前8時半すぎに発電所からおよそ7キロの浪江町の地点で、核燃料が溶けた際に出るテルルと呼ばれる放射性物質が1立方メートル当たり73ベクレル検出されていました。
このデータが検出される3時間ほど前、政府は避難区域を発電所の3キロから10キロ以内に拡大し、住民に避難を呼びかけていましたが、燃料の損傷の説明はなく、その後、昼すぎに行われた原子力安全・保安院の会見でも、核燃料は壊れていないと説明していました。
深刻な事態が進みつつあることを示すデータが早い段階で公表されていれば、住民の避難のしかたや避難への心構えなどに役立てられた可能性がありますが、原子力安全・保安院は「データがどれだけ住民のために役立てられたかは現時点では分からない」としています。
一方、事故発生の4日後に周辺の市町村で行った放射性物質の調査のうち、原発から30キロから50キロの4か所で採取した雑草などのデータも公表されていませんでした。
このうち、原発の北西およそ38キロの川俣町で採取した雑草からはヨウ素131が1キログラム当たり123万ベクレルという高い濃度で検出されていました。
原発周辺の雑草については、この調査から9日後になって初めて飯舘村で1キログラム当たり252万ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表されていました。
これについて、環境中の放射性物質に詳しい学習院大学の村松康行教授は「放射性ヨウ素は子どもへの影響が大きく最も注意が必要な物質だ。早い段階で遠くまで放射性ヨウ素の汚染が広がっていることが公表されていればより早く何らかの対応ができた可能性がある。当時の対応を検証する必要がある」と指摘しています。
データの公表が遅れたことについて、原子力安全・保安院は「対策本部を現地から福島県庁に移す際に混乱したため、データがあることは把握していたが、公表しようという考えに至らなかった。深く反省している」と話しています。

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