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4月28日のニュース

原発事故の損害賠償 1次指針まとまる

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、損害賠償の指針を作る国の審査会は28日、政府の指示に基づく避難や出荷制限によって損害を受けた人などを対象にした1次指針をまとめました。
避難にかかった費用や売り上げの減収など、幅広く損害を認めましたが、損害額の算定基準など、今後、検討とする項目も多く、早急な対応が求められます。
国の審査会は、28日、3回目の会合を開き、被害者の救済を迅速に進めるため、損害の因果関係が明らかな、政府の指示に伴う避難や出荷制限によって損害を受けた人などを対象に1次指針をまとめました。
このうち、避難などを余儀なくされた人については、避難や屋内退避、計画的避難、緊急時避難準備の区域の人が対象で、指示がある前に避難した人なども対象になるとしています。
損害と認められるのは、▽避難に伴う宿泊費や交通費、家財道具の移動費用、▽健康状態が悪化して病気になった場合の治療費、▽営業ができなくなったり、事業に支障が出たりした場合の減収など、幅広い項目にわたっています。
一方、避難に伴う精神的な苦痛は、12年前のJCOの臨界事故の際には、避難の期間が短かったため認められませんでしたが、今回の場合、正常な日常生活の維持が長期間にわたり著しく阻害され、損害と認められる余地があるとして、判定の基準などをできるかぎり早急に検討するとしています。
また、出荷制限の指示に伴う損害については、▽農林漁業者が出荷や操業ができずに生じた減収分や、▽商品の破棄にかかった費用、▽農水産物を仕入れた流通業者が販売できなくなった損害も含まれます。
損害の対象は、政府の指示によるものに限らず、自治体による自粛要請も含まれますが、生産者団体による自粛要請については、判断が難しいとして、少なくとも今回の指針では、福島県の漁業者団体が県との協議に基づいて行った操業の自粛要請について認めるとしています。
今回の1次指針では、例えば避難費用の損害について、数万人に及ぶ被害者から1件1件確認することは困難で、かえって救済が遅れるおそれがあるなどとして、一定金額を対象者全員に一律に支払う考え方が示されています。
また、ホテルに宿泊した人と、不便な生活を余儀なくされた避難所にいた人の間で、賠償額に差がつけば公平さを欠くなどとして、一定の調整が必要だとしています。
このほか、賠償金の支払いについては、早急な救済が必要な被害者の現状を考えれば、賠償額が最終的に確定する前でも一定期間ごとに支払ったり、一部を前払いしたりするなどの柔軟な対応が、東京電力には求められるとしています。
しかし、損害額の算定基準など、今後、検討するという項目も多く残っていて、早急な対応が求められます。
審査会では、東京電力に対し、多くの被害者への賠償が可能になるよう、態勢を早急に整えるよう指針の中で求めており、東京電力は「国が示す指針に基づいて誠意をもって対応する」としています。
審査会では、今回の1次指針で対象としなかった、いわゆる風評被害や地方自治体の損害などについても、今後、検討を行うとしており、ことし7月ごろには損害の全体像を示した中間指針をまとめたいとしています。

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