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4月17日のニュース

事故収束へ課題ごとに目標

  • 汚染水貯蔵タンク
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17日東京電力が発表した福島第一原子力発電所の事故の収束に向けた道筋では、1号機から4号機について、原子炉の冷却や放射性物質の漏えいといった課題ごとに、3か月程度をめどとした「ステップ1」の目標と6か月から9か月程度をめどとした「ステップ2」の目標を示しています。
【原子炉の冷却】

1号機から3号機が対象で、その現状について東京電力は「いずれの原子炉でも燃料の一部が損傷している。応急的な注水で原子炉を冷やしていて、原子炉を覆う格納容器から放射性物質が漏れている可能性が大きい」としています。
特に2号機では「格納容器が損傷し、放射性物質を含む水漏れが多い」としています。
この課題について東京電力は1号機と3号機については、3か月程度をめどにした「ステップ1」として安定的に冷却できている状態を目標にしています。
そのために、▽原子炉の核燃料の上部と同じ高さまで格納容器を水で満たす。▽熱交換器と呼ばれる温まった水を冷やして循環させる設備を設置するなどして、原子炉の熱を取り除く機能を回復させる。▽格納容器を水で満たすとタービン建屋に汚染水が流入するおそれがあるので、抑える対策を取る。▽作業中の水素爆発の危険をあらかじめ避けるため、格納容器に窒素を注入する。▽格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含むガスを外に放出せざるをえない場合はフィルターなどを使って低減策を取るとしています。
またこうした対策を実施すると、放射線量が高い場所で行う作業が長期化するおそれがあるとしています。
一方、2号機については、「ステップ1」として、損傷している格納容器が密閉できるまでは、施設にたまる水の量を抑えながら冷却するとしていて、格納容器の密閉の時期は明示していません。
そのうえで、▽今の最小限の注水で冷却を継続する。▽作業中の水素爆発の危険をあらかじめ避けるため、格納容器に窒素を注入する。▽圧力抑制室などの損傷箇所を粘着質のセメントで密閉する対策を実施するとしています。
6か月から9か月程度をめどとした「ステップ2」では1号機から3号機のすべてで核燃料が100度以下に冷やされ、安定したいわゆる「冷温停止」の状態にするとしています。
中期的な課題としては、これまでの応急的な冷却作業で注入した海水の塩分による原子炉や配管などの破損や目詰まりの防止を挙げています。

【使用済み燃料プールの冷却】
1号機から4号機が対象です。
3か月程度をめどにした「ステップ1」として▽大量の水を注ぎ込める特殊な車両などによる注水を継続する。▽2号機では通常の設備に冷却機能を加えて注水を継続する。▽そのほか燃料プールでも通常の冷却用の設備の復旧を検討する。▽温まった水を冷やして循環させる熱交換器の設置を検討し、実施する。
そしてこれらの対策によって6か月から9か月程度をめどとした「ステップ2」ではプールの水位が維持され、より安定的に冷却できる状態にするとしています。
燃料の取り出しはそれ以降の課題としています。
【汚染された水の管理】
3か月程度をめどにした「ステップ1」では、高濃度の汚染水が敷地の外に流出しないよう十分な保管場所を確保するとしています。
そのために▽高濃度の放射性物質や塩分を除去する水処理施設を設置し、処理した水をタンクに保管する。▽廃棄物の処理に使われる集中廃棄物処理施設を保管先として活用するほか、メガフロートと呼ばれる鋼鉄製の人工島などを比較的低い濃度の汚染水の保管先とする、などとしています。
こうした対策によって6か月から9か月程度をめどとした「ステップ2」では汚染水全体の量を減らすことを目標として、処理された水を原子炉の冷却に再利用するとしています。

それ以降の課題として、本格的な水処理施設の設置を挙げています。
【放射性物質が屋外飛散の防止】
3か月程度をめどにした「ステップ1」では、▽原子炉建屋を特殊なフィルターなどを備えた巨大なカバーで覆う作業に着手する。▽敷地内に散乱したがれきを撤去するとしています。
そして6か月から9か月程度をめどとした「ステップ2」では▽1号機と3号機、それに4号機では原子炉建屋を覆うカバーの設置を完了させる、としています。
この対策については2号機は除外されています。
▽また、原子炉建屋をコンクリートなどで覆う本格的な措置の詳細な設計に着手するとしています。
▽原子炉建屋全体を覆う本格的な措置の実施や▽放射性物質に汚染された土の入れ替えや洗浄はその後の課題としています。
【周辺環境のモニタリング】
3か月程度をめどにした「ステップ1」で▽避難指示区域、計画的避難区域、それに緊急時避難準備区域のモニタリングに着手する。

▽半減期が30年と長いセシウム137など、残留した放射性物質のモニタリング結果を公表する、としています。
6か月から9か月程度をめどとした「ステップ2」では家屋や土壌に付着した放射性物質を取り除く作業を行い、これらの区域の放射線量を十分低減させるとしています。

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