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4月15日のニュース

“賠償や補償 国が枠組みを”

福島第一原子力発電所の事故で、避難などを強いられている住民への賠償や補償について、専門家は「賠償や補償の遅れを避けるためには、国が東京電力や自治体と役割分担してスムーズに進めるための枠組みを早急に作る必要がある」と指摘しています。
麗澤大学企業倫理研究センターの客員研究員、田邉朋行さんは、平成11年に起きた茨城県東海村の臨界事故の際、JCOと被害者の間でどのように賠償や補償が進められたか研究しています。
田邉さんは今回の福島第一原発の事故について、「JCOの事故では被害総額の8割が風評被害だったが、今回は放射性物質が拡散し、土壌汚染や出荷制限などの被害が実際に生じている。さらに子どもの甲状腺がんなどが将来、万が一発生して因果関係が認められれば、それも対象となる。
今回は被害の内容や、地理的、時間的な広がりが大きく違う」と指摘し、賠償の規模については、「JCOでは150億円に上ったが、今回は数兆円に達する可能性もある」としています。
田邊さんによりますと、JCOの事故のときには、茨城県と東海村が賠償の請求の窓口になり、事業者との交渉をサポートしたことで、賠償の処理が比較的、スムーズに進んだということです。
しかし、今回は、請求の内容が多岐にわたり、地域も広範囲になるとして、「どこを賠償の請求窓口にして交渉するか、個別で交渉するかそれとも団体で交渉するか、賠償や補償に関する情報を被害者にどう確実に伝えるかなど、手続きに関する交通整理が必要だ」と混乱が起きないようにする体制づくりが重要だとしています。
一方、政府の対策本部が東京電力に要請した仮払金の支払いについては、「JCOでも実施されたもので、倒産などの二次被害を拡大させないために、今、現実に資金が必要な人に実施することは有効だ」と評価しています。
そのうえで、田邉さんは「今回の事故は原子力損害賠償法の想定を超えており、時間がたてばたつほど被害は拡大する。国と東京電力、それに自治体がどのように連携し、役割分担して補償交渉を進めていくのか、特別立法も含めて、国が早急に枠組みを作る必要がある」と述べ、被害者の早期の救済と被害を拡大させないためにも初動体制が重要だという考えを示しました。

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