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4月5日のニュース

低レベルの汚染水 海へ放出

  • 2号機

福島第一原子力発電所の事故で、東京電力は4日夜、施設内にたまっている低レベルの放射性物質に汚染された水を海に放出するという措置に踏み切りました。
法律に基づく「緊急時のやむをえない措置」として国も了承しましたが、低レベルとはいえ、みずから放射性物質を海に放出するという異例な事態となっています。
国や東京電力には、海への影響の監視の強化や、汚染された水の放出をできるだけ抑えるための対応が急がれるとともに、こうした措置に踏み切った詳しい説明が求められます。
福島第一原発では、2号機のタービン建屋の地下にたまった水などから、高濃度の放射性物質に汚染された水が見つかっているほか、さらに同じような高い濃度の汚染水が海に直接流出し、一刻も早く海への流出を止めることが求められています。
ところが、流出を食い止めるために検討されていた対策がことごとくうまくいっていないほか、タービン建屋の地下にある高濃度の汚染水の処理なども難航しており、東京電力によりますと、緊急に対策を取らなければ外部の環境などに危険が生じるおそれがあると判断したということです。
このため東京電力は、高濃度に汚染された水の貯蔵先を確保する必要があるとして、施設内にたまっている低レベルの放射性物質に汚染された水を4日夜、海に放出する措置に踏み切りました。
これは、原子炉等規制法の64条に基づく「緊急時の措置」で、4日の午後3時に経済産業省の原子力安全・保安院に報告され、その後、30分以内という短時間に国の原子力安全委員会から助言を受けたうえで、「やむをえない措置」として了承されました。
これを受けて東京電力は、4日夜7時すぎから「廃棄物集中処理施設」にたまっているおよそ1万トンの低レベルの汚染水を、また、5号機と6号機の地下水を集める「サブドレンピット」と呼ばれる施設にたまっている合わせて1500トンの低レベルの汚染水を4日夜9時から放出を始めました。
今後、数日かけて海に放出するとしています。
東京電力によりますと、放出される水に含まれる放射性物質の濃度は、法律で定める排出基準の限度のおよそ100倍に当たりますが、付近の魚などを毎日食べ続けた場合に、1年間に受ける放射線量は0.6ミリシーベルトで、一般の人が1年間に浴びても差し支えないとされる1ミリシーベルトを下回るとしています。
ただ低レベルとはいえ放射性物質を海に放出するという重大な決断が何の前触れもなく、急に発表されたうえ、そこまでせっぱ詰まった状況だったのか、国や東京電力も4日の記者会見で、十分に説明しきれていません。
事故の発生から3週間余り、みずから放射性物質を海に放出するという異例な事態となっており、国や東京電力には、海への影響の監視の強化や、汚染された水の放出をできるだけ抑えるための対応が急がれるとともに、こうした措置を取ったことへの詳しい説明が求められます。

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