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実現できる? 週休3日制

「週休3日」だったら、あなたは何をして過ごしますか?

「休めるものなら休みたい」という人も多いかと思いますが、実際には仕事が立てこんでいたり、取引先との関係があったりして休めないという人がほとんどではないでしょうか。週休3日に挑戦する会社などを通して、新しい働き方について考えます。
(広島放送局・野中夕加)

仕事の効率あげて週休3日へ

広島県東広島市にある従業員1000人の精米機メーカーでは、この夏、「週休3日制」に試験的に取り組んでいます。期間は7月9日から8月12日までの5週間。海の日や山の日に加えて、平日の休みを3日設けることで、ほとんどの週で3連休となるよう設定しました。

経営企画室の平井大介さん(35)は、最初の週末、土、日、月の3連休を使って両親と妻、3人の子どもたちと大阪のテーマパークに出かけ、リフレッシュしました。月曜日の仕事が心配でしたが、あらかじめ取引先に休むことを伝えていたため、大きな支障は出なかったといいます。

平井さんは「計画を持ってやればできないことはないし、なんとかやっていけるのではないかと感じた」と話していました。

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実はこの会社、いきなり週休3日に取り組んだわけではなく、3年ほど前から仕事の効率をあげるための工夫を続けてきました。例えば、設計を担当する部署で行っているのが「集中時間」です。午後1時10分になると音楽が流れ、そこから2時間余りの間、エンジニアは設計の業務にだけ専念します。かかってきた電話にでるのは管理職と決まっています。

男性社員は「電話を受けるとそれまで考えていたことを忘れてしまうので、本業だけに集中できることで仕事もはかどる」と話していました。

また、本来は営業の担当者が行う機械のメンテナンスを、経理や人事などの社員でもできるようにして、特定の社員に仕事が偏らないようにしています。こうした取り組みの結果、社員ひと月当たりの残業時間は平均で7時間に減少。週休3日を導入する準備ができたのです。

ただ、今回はすべての社員が週休3日にできたわけではありません。社外との業務が多い営業部門を中心に、およそ200人は会社が設けた休みの日に一斉に休むことができなかったということです。

サタケの木谷博郁取締役人事部長は「いきなり本格導入するのではなく、まず一歩を踏み出してみた。無理をせず状況を見ながら将来は本格的な導入を目指したい」と話していました。

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3日目の休み“ゆるやかに”

試行錯誤をへて、社員の使いやすい週休3日の制度を導入した会社もあります。

アパレル業界に販売員などを派遣している都内の会社では、1年で社員の40%以上が辞めた年もあるなど、高い離職率が課題でした。そこで3年前、社員の定着を目指して週休3日制を導入しましたが、意外にも社員からは不評だったといいます。

その1人、小此木藍さんは「自分の休みの都合で顧客からの仕事を断ってしまったり、業務が滞ったりして、迷惑をかけることが多かった」と話していました。

さらに、アンケートをとると「ほかの人に負担がかかるので気を遣う」という声が相次いだといいます。ほかの社員にしわ寄せがいってしまっては、週休3日の導入は無理だと多くの人が感じていたのです。

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周りに迷惑をかけずに週3日休むことができるのか。そこで会社が導入したのが“ゆるやかな”週休3日制です。

3日目の休みは、出勤として扱いますが、急ぎの電話に対応しさえすればどこで何をしていても自由で、給料も減りません。当初、週休3日の導入に疑問を感じていた小此木さんも、子どもたちと公園ですごしながら電話対応をするなど、柔軟に働くことができるようになりました。

小此木さんは「気楽に使っている。給料が減らなくて、自由な時間をもらえるのは非常に助かる」と話していました。

制度の導入で、かつては40%を超えていた離職率も半分以下になったといいます。

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仕事は働きたいときに働きたいだけ

これまでの常識にとらわれない、大胆な働き方を採用する会社も現れました。

大阪にある、天然のえびを加工販売する会社。朝いちばんに仕事場にやってくるのは、工場長の武藤北斗さん。午前9時には、15人のパート従業員のうち、3人が出勤してきました。

しかし、武藤さんにはこのあと何人が出勤してくるのか、全くわからないといいます。「フリースケジュール」と呼んでいるこの働き方。いつ働くか、そして、何時間働くか、すべて従業員自身が決めています。その日にどんな仕事をするかは、出勤した人数にあわせて武藤さんが指示します。

この日は人数が少なかったため、手間のかからないむきエビの加工を行いました。加工したエビは冷凍して出荷するため、取引先の注文には十分対応できるということです。

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武藤さんがこのユニークな働き方を考え出したのは、東日本大震災のあとでした。会社はもともと宮城県石巻市にありましたが、震災で工場が被災し大阪に移転。しかし、採用した従業員は短期間で辞めることが多かったといいます。

従業員に定着してもらうために、会社ではなくすべて本人が働き方を決めると発想を転換し、「フリースケジュール」を導入しました。

武藤さんは「工場として成り立たないと多くの人に言われたが、会社の都合よりも従業員が自主性を出していくような働き方や働きやすい環境を整えることが重要だと考えた」と話していました。

また、この会社ではエビフライのパン粉つけや掃除などおよそ30種類ある作業について、従業員に好きか嫌いかを聞き取り、「好き嫌い表」というリストを作成。なるべく好きな仕事で力を発揮してもらい、全員が嫌いという仕事は公平に分担します。その結果、辞める人が減り、従業員のスキルやチームワークも向上。生産性も上がったということです。

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週休3日は普及するか

今回、紹介したような働き方が実現できるかどうかは、業種や雇用形態など、個々の会社の事情によるところも大きいでしょう。しかし、この3つの会社に共通して言えるのは、一律に休みを押しつけるのではなく、本当に必要な業務が何なのかを見直したり、社員が気兼ねなく休めるような業務の仕組みを考えたりしている点です。

どう働くのかに正面から向き合うことこそ、どう休むかということにつながるのだと感じました。

野中夕加
広島放送局
野中夕加 記者
平成22年入局
松江局をへて広島局