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子どものケータイ どうしてますか?

子どもに携帯電話を持たせるべきか?どんな端末を持たせればよいのか?家族会議で決める家庭も多いようです。子どもが連れ去られる事件があとを絶たない中、安全を確保する手段として持たせたい。でも、持たせれば持たせたで心配事もーーーそんな悩める親たちのために、新たなサービスや端末が相次いで登場しています。その背景には、携帯電話市場が頭打ちになりつつある中、子どもの需要を取り込む狙いもあるようです。(経済部・小田島拓也記者)

痛ましい事件 あとを絶たず

ことし3月、千葉県松戸市の小学3年生の女の子が連れ去られ、殺害される痛ましい事件が起きました。警察庁によると、19歳以下の子どもが連れ去られた事件は、去年1年間だけで183件、強制わいせつの被害は2888件にも上っています。夏休みに入って子どもが外で遊ぶ機会が増えるこの時期、仕事で一緒にいられない時間が多い親にとっては、一段と不安が募ります。

子どもを守る手段に

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子どもの身を守る道具として携帯電話をーーー大手各社は、子ども向けの端末を相次いで発売しています。緊急時にひもを引っ張ると、大きな音でブザーが鳴って周囲に異変を知らせつつ、親の携帯電話に電話をかける機能や、追加で月200円を支払うと、親の端末で子どもの居場所を把握できるサービスもあります。

「子どもの位置がわかるだけでは不安。画像で状況を確認できるサービスがほしい」そんな親の要望に応えた「見守り専用のスマートフォン」も販売されています。

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見守り用のスマホを取り付けたランドセル

端末を子どものカバンなどに取りつけて周囲の状況を撮影し、親は、その画像をいつでも確認できるという仕組み。子どもの周辺の状況は、最も短く設定すれば2秒間隔で撮影され、親は自分のスマホやパソコンでその画像と音声を確認できます。撮影された画像は、スマホ自体に保存されるのではなく、サーバーに送られます。万が一、子どものスマホが奪い取られたり、捨て去られたりしても、犯人の画像や音声は残り、早期発見につながる可能性が高まります。

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プロジェクト・メイ 白石昌二朗社長

開発したベンチャー企業、プロジェクト・メイの白石昌二朗社長は、「子どもの居場所を“見える化”することで大きな安心を届けられる。防犯カメラと同じように、犯罪を抑止する効果も期待できると思う」と話しています。

このサービスには、子どもが、事前に設定した行動範囲を外れたり、川やため池など事故が起きやすい場所に立ち入ったりすると、親にメールで知らせる機能も付いています。

利用者で、小学4年生の娘がいる東京・中野区の久松利江さんは、仕事の合間に子どもの状況を確認しているということです。久松さんは「特に夏休みは一緒にいられない時間が長くなってしまう。危ない場所に行けばメールが来るし、どこで何をしているか、画像で分かって安心できる」と話していました。

持たせることの不安も…

携帯電話を持つ小中学生の割合は、増え続けています。内閣府の調査によると、小学校高学年では、今や2人に1人が携帯電話を所有しています。

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その背景には、子どもの安全を確保するために持たせたいという親心もあるでしょう。しかし、親にとっては、持たせたら持たせたで、心配ごとの種が増える現実もあります。無料通信アプリのLINEや、ツイッターなどのSNSを通じて、子どもが犯罪に巻き込まれる被害が増えているうえ、ネットの閲覧やゲームに熱中しすぎる“スマホ依存症”ともいえる子どもの増加も指摘されてます。

深夜は使えないスマホ

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そこで新たに登場したのが「12歳以下は、午後10時から午前6時の間は使用禁止」という端末です。格安スマホのトーンモバイルが8月から販売を始めます。

開発にあたっては、子育て世代の読者が多い女性ファッション誌の「VERY」と提携。読者を対象に調査を行ったところ、子どもにスマホを持たせたいというニーズが高まっている一方、「ベッドの中にまでスマホを持ち込む」「親に隠れて使おうとする」「スマホに依存して離さない」という声が相次いで寄せられたということです。そこでVERYは、携帯電話会社が「夜は使えません!」と宣言するサービスを提案したということです。

このスマホでは、利用するアプリや時間帯を親子で約束して紙に書き込み、その紙をスマホで撮影します。すると、親子で決めた設定が自動的に反映される機能も付いています。

石田宏樹社長は「親と子のそれぞれのニーズをしっかりとすりあわせて、1つの約束という形でサービスを開発できた」と語ります。

一方、VERYの今尾朝子編集長は「携帯電話の選び方ひとつで、子どもを守りやすい社会に変えていくチャンスになるかもしれない。ただ、自分の子どもはルールを守っても、友達から『なぜすぐに返信しないのか』と言われるケースも考えられる。自分の子どもだけではなくて、友達を含めて社会を変えていく選択をしなくてはならない」と話していました。

各社の競争でよりよいサービスを

国内の携帯電話市場は普及が一段落し、販売台数は頭打ちになりつつあります。大手3社や格安スマホ事業者が激しい競争を繰り広げる中、携帯電話が子どもを守る道具としての強度を高め、弊害を少しでもなくす方向に向かえば、まだまだ、市場拡大のチャンスはあると感じました。

小田島拓也
経済部
小田島拓也 記者