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どう守る 地域航空ネットワーク

離島や地方都市を結ぶ、地域の航空路線。
“地元の足”として欠かせない存在ですが、こうした路線を運航する地域航空会社の経営環境は厳しく、路線の維持すら危ぶまれています。こうした事態を受けて、国土交通省は6月、地域航空ネットワークの維持に向けた方策を議論する有識者会議を発足させました。地域航空の現状と課題は・・・。(経済部 橋本知之)

低迷する地方路線

離島や地方都市を結ぶ航空路線を利用したことがある人は少なくないのではないでしょうか。私は初任地のNHK青森放送局で働いていた当時、北海道・札幌市への出張に青森空港と新千歳空港を結ぶ路線を利用したことがあります。
座席は数十席ほどの小ぶりな航空機でしたが、鉄道なら5時間はかかるところ2時間半ほどで到着し、便利だと感じたのをよく覚えています。

しかし、こうした専ら離島や地方都市間を結ぶ航空路線は利用客の低迷が続いていて今後、人口減少や地域経済の衰退が進むと、経営環境はさらに厳しくなることが避けられない情勢です。

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『地域の航空会社』5社の課題

国土交通省によりますと、主に30から70席ほどのプロペラ機で離島や地方都市の運航に従事している地域航空会社は、国内に5社あります。

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5社は各地域にとって欠かせない存在ですが、利用客の低迷やパイロット・整備士などの人材確保の難航。そして特定の大手航空会社の傘下にあることなどで事業展開が限定されるといった共通の経営課題を抱えています。

各社はすでに地元自治体から補助金などを受けていますが、自治体財政も厳しいなか、公的支援にはおのずと限界がみられます。そこで、国土交通省が地域航空ネットワークの維持に向けた方策を考えてもらおうと有識者会議を発足させたのです。

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抜本的なコスト削減策など議論へ

6月9日に開かれた会議の初会合には、航空業界に詳しい大学教授など5人が出席しました。会議では、課題の克服に向けた具体例として、「天草エアライン」と「日本エアコミューター」の取り組みが紹介されました。

航空機を更新する際、2社が同じ機種の航空機を導入。「天草エアライン」は、比較的規模の大きい「日本エアコミューター」に、パイロットや整備士の訓練を委託するほか、今後、予備の航空機を融通してもらうことで修理による欠航を避ける取り組みを進めるということです。

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出席した有識者からは「生き残りのためにどのような協業ができるのか、航空業界の常識にとらわれず、コストの削減と需要の創出の両面で幅広く検討すべきだ」などの意見が出されました。

初会合では、今後10年間を見据えて各航空会社が“大手の系列を超えて”航空機の調達や整備を共同で行ったり、パイロットの育成で協力したりしてコスト削減を図る方法などを議論することになりました。会議では、7月に航空会社から聞き取りを行うなどして、年内に中間的な報告書を取りまとめる予定です。

大手の系列をこえた取り組みを

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航空業界では「全日空」と「日本航空」の大手航空会社2社が激しく競争する構図が長年続いています。

大手の系列をこえて協力しあう枠組みの検討は、“前例のない”挑戦ともいえます。今回の取り組みについて、大手航空会社の担当者は「『青(全日空)』と『赤(日本航空)』の両社の垣根を超えて新たな枠組みが構築できれば、画期的なことだ」と話していました。

地域航空ネットワークの維持に向けて、より一歩踏み込んだ対策がとられるのか。今後の議論の行方、そして各航空会社の取り組みに期待したいと思います。

橋本知之
経済部
橋本 知之
平成15年 NHK入局
青森局、盛岡局、
生活情報部などを経て
現在 国土交通省担当