さわってわかる日銀地域経済報告

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コラム 北海道
2014年7月

公共投資

生産

設備投資

個人消費

雇用  

所得

人手不足は今や最大の経営課題だ

札幌放送局
宮本 雄太郎

景気の現状を取材するなかで、何人もの経営者が同じ言葉を述べるのを聞きました。北海道でも景気の回復傾向が続いてきましたが、ここへ来て正規・非正規を問わず、人材不足が懸念材料として浮かび上がってきています。

ある居酒屋チェーンでは、時給を上げてもアルバイトが不足し、近くの店どうしで人員をやりくりする状況で、事業拡大に向けて計画した総菜などをつくる新工場も従業員を確保できるめどが立たないことなどから、建設を一時、見合わせています。一方、道内大手のスーパーでは、契約職員680人を勤務する地域を限定した正職員として登用しました。このスーパーの経営者は「待遇の改善により人件費は上がるが、コストではなく将来に向けた投資として判断した」と話しています。

人手不足が景気を冷やすことになるのか、それとも賃金の上昇などを伴って、さらなる好循環を生みだすのか、まさに分かれ道に差し掛かっていると感じています。

造船業の復興を懸けた一手

仙台放送局
道下 航

東日本大震災からの復興需要が続く東北の被災地。復興がなかなか進まないなか、将来に向けて産業の基盤を強化しようという新たな動きが出ています。

宮城県気仙沼市は、17年連続で生鮮カツオの水揚げ量が日本一の漁業の町です。しかし、気仙沼漁港の水揚げ量は今なお、震災前のおよそ60%にとどまっています。こうしたなか、被災した造船会社4社が、3年後に合併する方針を固めました。造船会社4社は、震災による地盤沈下で生産施設が水につかるなど大きな被害を受け、復旧に多額の資金が必要なほか、将来的に漁船の建造の落ち込みが見込まれるため、経営基盤を強化して生き残りを図ろうとしているのです。新たな会社の名前は「みらい造船」とすることが検討されています。

被災地の水産業は、事業の再開は果たしたものの、販売先の回復が遅れたり、もともと抱えていた担い手不足などの課題も顕在化したりしています。今回の合併は、同じ課題に直面したほかの企業にとっても影響を与えることになると感じています。

中小企業が直面する“3重苦”

首都圏センター
井口 貴雄

都内の中小企業の経営者からは消費増税について、「思っていたよりも影響はない」という声が多く聞かれます。その一方で、駆け込み需要の反動減に苦しむ会社もあります。

品川区にある防犯システムを手がけている会社は、ことし5月の売り上げが、消費増税の反動で前の年の同じ月の40パーセントにとどまりました。この会社では、売り上げの落ち込みは「想定内」で、ことし後半には回復すると見ていますが、訪問看護という全く新しい事業への参入を決めました。原材料費の高騰などもあって、先行きは決して楽観できる状況にはなく、新たな収益の柱を確保する必要があると考えたのです。

最近では、資材価格やガソリン価格の上昇に加え、中小企業でも最近では人手不足の影響が顕著になっています。知名度が低い中小企業は人材の確保が厳しくなっており、赤字でも給料を引き上げざるをえないところも出ています。こうしたこともあって、中小企業の多くは景気の先行きには慎重な見方を崩していないのが現状です。

北陸新幹線で成長企業を呼び込め

金沢放送局
野上 大輔

「東京まで2時間半」。金沢では、来年春の北陸新幹線の開業で、首都圏と北陸地方の距離が縮まり、これまで関西圏との経済交流が中心でしたが、首都圏との交流も活発になると期待されています。

金沢駅周辺では、来年春までに6つのホテルが営業を始め、オフィスビルや都市型マンションの建設も相次いでいます。その一方で、玄関口となる金沢駅周辺とそのほかの地域では二極化が進み、石川県の能登地方では、観光客の伸び悩みや人口の減少に悩む現状は変わりません。

北陸地方の強みは、比較的、自然災害のリスクが少ないことです。太平洋側に主力工場を持つある精密機械メーカーは、南海トラフの巨大地震のリスクを分散しようと、ことし、35億円をかけて、金沢市に新たな工場を建設しました。このメーカーの社長は「医療機器など世界的にシェアの高い製品の供給が、自然災害で止まることがないように判断した」と話しています。北陸新幹線という交通インフラだけではなく、いかに長期的な視点で成長性の高い企業の集積地にしていくかに、北陸地方の命運がかかっていると感じています。

ものづくり 成長の道筋をどう描く

名古屋放送局
馬場 健夫

東海地方の経済をけん引するのが、今年度の営業利益を過去最高の2.3兆円と見込むトヨタ自動車を中心とする自動車産業です。

消費税率引き上げの影響は、想定したほどでないという声も多く、実際にそれぞれの工場は高い水準で稼働を続け、繁華街の夜の賑わいは増すばかりです。しかし、市場が縮小する国内で、生産をこのまま維持していけるのかという根本的な課題は、実は、何も解決されていません。自動車業界が求めてきた円高是正が進んだ今も、大手メーカーが海外で生産を拡大させる動きは変わらず、海外に出る資金や人材に余裕がない大多数の中小企業を取り巻く環境は厳しいままだからです。

ある3次下請けメーカーの社長は「親会社の発注先が海外に移って仕事量は落ち込み、従業員の給料は上げられない。このままでは息子に会社を継がせることができない」とこぼしています。景気の回復が続く今だからこそ、日本のものづくりが将来にわたって持続的に成長する道筋をどう描いていくのか、現場を一緒に歩きながら取材を続けていきたいと思います。

景気盛り上げる観光スポット

大阪放送局
河内 康之

関西の大手企業では、消費増税のショックは想定内で、消費は着実に回復に向かっているという見方が広がっています。

ことし5月の大阪地区のデパートの売り上げは、全国の主な10都市の中で唯一、ほぼ前の年の水準まで回復しました。要因の1つとされているのが、3月に開業した日本一高いビル「あべのハルカス」です。

ビルの中にあるデパートや展望台などの施設は連日、多くの客で賑わっていますが、なかでも目立つのは中国や台湾などアジアからの観光客です。大阪のみならず、京都や奈良など周辺の観光地にも足を伸ばし、関西全体に波及効果をもたらしているようです。

さらに、大阪では7月15日「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」に、世界的なヒット作となった映画「ハリー・ポッター」の世界を再現する新たな施設が開業します。総工費は450億円に上り、年間200万人の来場者の増加が見込まれています。関西の夏の景気を盛り上げる起爆剤として、地元から熱い視線が送られています。

売り上げアップの秘けつは子ども

広島放送局
佐藤 真人

4月以降、全国のデパートやスーパーの売り上げが前の年を下回るなか、広島市のショッピングモールでは、「子ども」をターゲットにすることで、消費税率の引き上げ後も売り上げを伸ばしています。

180余りあるテナントの半分以上を入れ替えて、県内初進出の子ども服ブランドを誘致したり、人気のおもちゃを無料で体験できる幼児向けの遊び場を整備したりしたのに加え、家族連れに人気のフードコートの広さも30%増やしました。さらに、おもちゃ屋を子ども服売り場のすぐ隣に移転させるなどして、子ども関連の買い物をまとめてできるようにしました。その結果、この会社のほかのショッピングモールでは、4月の売り上げが前の年を割り込むなか、このモールの売り上げは8%も増加。5月も13%の増加と、好調が続いています。

自分の支出は切り詰めても、子どもにはお金をかけてあげたいのが親心。さらに子どもが来店すれば、両親はもちろん祖父母も呼び込める。すると大人向けの商品も売れる。ターゲットを明確にする戦略で幅広い客層を取り込む、うまい取り組みだと感じました。

人手不足 地域経済に迫る影

松山放送局
国枝 拓

消費増税後、初めて発表される日銀短観に向けて、地域産業の人手不足感がどうなるかに注目していました。一時的に景気が減速すれば、雇用が落ち込み、人手不足感が解消されると思っていたからです。

県内の住宅工事会社は、この春、新しい社員を採用することはできなかったと言います。消費増税後、一時的に受注の減少はありましたが、その後、注文が増えていて、人手が足りずにすべてを受注できない状況が続いているということです。住宅工事会社の社長は「人気が必ずしも高くない業種では、採用に力を入れるのに加え、人材育成の新しい方法に取り組まざるをえない」と話していました。今いる社員をしっかり活用し、生産性を引き上げなければ、もう業績は伸びないというわけです。

経済指標が好調なことに、浮かれてはいられません。今、人手不足解消への取り組みを始めなければ、景気はいずれ頭打ちになり、腰折れを招きます。そのとき、地域経済に再び浮上する縁(よすが)は、あるのでしょうか。中小企業の声に、その懸念を強く感じました。

復活の造船業と再生エネで勝負

長崎放送局
岩間 宏毅

消費増税の景気への影響が注目されるなか、日銀長崎支店が1日発表した短観は、県内経済の回復力の強さを示す結果となりました。

短観で、長崎の製造業は、指標が大幅に改善。非製造業でも、駆け込み需要の反動で指標は悪化したものの、全体としては高水準が続きました。かつては「2014年に受注が底をつく」とする見方もありましたが、足元の受注は好調で、主力産業の回復が地域経済の明るい話題となっています。

ただ、造船業界はこれまでの厳しい国際競争で従業員が減少し、地域は雇用の受け皿がなくなっているという課題に直面しています。こうしたなか、長崎県は造船業の振興とともに、海洋再生可能エネルギー産業の誘致にも活路を見いだす考えです。全国2位の海岸線の長さを生かし、洋上風力発電や潮流発電の適地として企業集積を図ろうとしています。また、造船業で培った関連技術も地域経済の力としてアピールする考えです。グローバル競争の時代、生き残りをかけた戦略を地方も求められています。

“北電離れ”広がる

札幌放送局
宮本 雄太郎

北海道では、北海道電力による電気料金の再値上げが決まり、回復傾向をたどってきた道内景気への影響が懸念されるとともに、北電離れの動きも広がっています。

北海道電力は原子力発電所の運転停止による経営の悪化を理由に、ことし11月から電気料金を値上げします。去年に続く値上げで、企業など大口向けでは平均16%から22%余りの大幅な値上げとなります。

NHKが道内179市町村に取材した結果、役場の庁舎や学校などで使う電力について、新規の電力小売り事業者=「新電力」に切り替えた、もしくは切り替えを検討しているのは合わせて41の自治体、全体の22%に上りました。新電力は割安な電気料金を掲げているのが特徴で、厳しい財政状況が多い道内の市町村で北電離れの動きが広がっていることが分かりました。

新電力は供給力が限られるなど課題もありますが、北電の再値上げは一般家庭でも重い負担となっており、再来年の小売りの全面自由化によって地方でも消費者の選択肢が広がるかどうか注目されています。

コメの値下がりに懸念広がる

仙台放送局
畠山 博幸

新米の季節ですが、ことしの新米は値下がりしています。消費者にはうれしい値下がりですが、農家の間には不安が広がっています。

JA仙台の直売所では、新米の「ひとめぼれ」が10キロ3300円と去年より20%近く価格を下げて販売されています。この品種が登場した平成3年以降最低の水準です。

背景には「コメあまり」があります。民間のコメの在庫量は、東日本大震災の影響でコメの生産量が減ったことで一時的に少なくなっていましたが、豊作だった去年、増加に転じ、ことしも去年並みの在庫となっています。消費者のコメ離れも進み、来年はさらに在庫が増えると見込まれています。

コメの取引価格の指標になるJAから農家への仮払金は、宮城県内では去年より25%引き下げられました。東北地方のほとんどが、この40年ほどの間で最低の水準です。農家の減収となる分を一定程度、補填する国の制度もありますが、将来の担い手となる大規模農家にも懸念が広がっています。「強い農業」の構築は待ったなしですが、政府が担い手となる農家の懸念を、いかに払拭できるかが問われていると思います。

中小企業 為替動向と賃上げ

首都圏センター
井口 貴雄

首都圏の中小企業が今、神経をとがらせているのは為替の動向です。埼玉県に工場がある従業員が15人のプラスチック製品のメーカーでは、いわゆるリーマンショック以降取引先の海外移転が進み、売り上げがピーク時より40%程度減少しています。

これに追い打ちをかけているのが円安です。電気料金が毎月、20万円程度増えているうえ、プラスチックの原材料も5%程度値上げされました。厳しい価格競争が続き、円安に伴うコストの増加分は製品価格に転嫁することは難しい状況です。

この会社では、従業員に報いるため、厳しい経営環境でも、なんとか賃金を引き上げたいと考えています。しかし、円安によるコストの上昇が続けば、賃上げも難しいのが現状です。今月16日には世界経済の先行きに不透明感が増していることなどから、アメリカやヨーロッパ、アジアでも株価が下落し、外国為替市場では円高ドル安が進みました。為替の動きや世界経済の動向は、首都圏の中小企業の経営にも影響を与えるだけに、その先行きに目が離せない状況が続いています。

円安が地元のものづくりを直撃

富山放送局
松原 圭佑

10月には一時、1ドル110円台にまで値下がりした円相場。急激に進んだ円安は、富山を代表する、ものづくりの現場にも深刻な影響を与えています。

県西部の高岡市は、伝統工芸の高岡銅器をはじめ、鋳物づくりが盛んな町です。ある鋳物メーカーでは、この1年で鋳物づくりにかかるコストがおよそ10%増加したと言います。鋳物づくりには欠かせない、うるしや着色料などはほとんどが輸入品。急激に進む円安は、この業界には大きな痛手です。ほかにも、製作に必要な素材や薬品、電気・ガスの料金も上昇して経営を圧迫しています。

加えて、経営者の頭を悩ましているのは消費増税の影響です。税率が引き上げられたことし4月は受注が激減。現在、製作中の釣り鐘や銅像のおよそ4割は、去年9月以前に注文を受けたものだということです。増税で消費マインドが冷え込むなか、製品の値上げに踏み切ることもできず、対応に苦慮しています。

円安で恩恵を受ける大手メーカーもありますが、富山県でものづくりの現場を取材していると、多くの中小企業で経営環境が厳しさを増していることを実感します。

自動車産業の次を目指して

岐阜放送局
早川 俊太郎

東海地方で、新たな主力産業として注目されているのが航空機産業です。理由の1つが格安航空会社の台頭で世界的に航空機需要が急拡大していることです。先端技術の集合体である航空機は、高い品質の部品が求められます。航空機メーカーは、こうした部品を納期までに確実に納めることができる部品メーカーを求めています。

岐阜県や愛知県には、最新型の旅客機・ボーイング787の製造に関わる川崎重工業や、初の国産ジェット旅客機の開発を進める三菱航空機と取り引きする部品メーカーのほか、自動車産業に育まれた多くの部品メーカーが集積し、世界の航空機メーカーから注目を浴びているのです。

国も特区制度で、こうした部品メーカーを税制面で優遇する措置を設けるなど支援を始めています。また、日本の大手重工メーカー3社が企業の垣根を越えて、共同で航空機専門の技術者を養成しようという動きも出てきました。東海地方が航空機産業の一大集積地になれるかどうか、官民を挙げた取り組みが注目されています。

為替動向に一喜一憂

大阪放送局
後藤 亜妃子

関西の多くの企業が今、最も気にしているのは為替の動向です。大阪を訪れる外国人観光客は、急速に進んだ円安が追い風となって急増し、デパートの免税カウンターはどこも活気づいています。私が取材した大阪・梅田のカプセルホテルは、旅行会社のツアーには組み込まれていませんが、この半年で外国人の客が5倍に増えました。1泊2500円の宿泊料金が円安でさらに割安になり、海外から格安旅行で訪れるバックパッカーたちを引きつけているといいます。

その一方で、多くの中小企業が円安の進行に懸念を強めています。大阪商工会議所が先月、製造業を対象に行った調査では、「プラスの影響が大きい」と答えた企業が7.4%だったのに対し、「マイナスの影響が大きい」と答えた企業は54.5%に上りました。

原材料のほとんどを輸入に頼っている大阪の毛布メーカーの経営者は、値上げの検討を始めましたが、円安によるコストの上昇分をそのまま価格に上乗せするのは難しいと話していました。私たちの暮らしにも影響を及ぼす為替の動向に、しばらく目が離せない状況が続きそうです。

鉄道インフラで世界を狙う

広島放送局
鵜澤 正貴

中国地方では、新たに「鉄道インフラ」を輸出産業に育てようという動きが出ています。今月2日、大手機械メーカーの三菱重工業が、広島県三原市に大がかりな鉄道の試験施設を完成させました。

最大の特徴は1周3.2キロの試験線です。国内の在来線の幅に加え、海外で標準的な、より広い幅の規格にも対応し、最高時速100キロで本格的な走行試験を行うことができます。海外での開業前に、信号や運行システムの試験も行い納期の短縮につながるほか、海外から関係者を招いて、正確なダイヤ運行を強みとする日本の鉄道技術をアピールする場にもなります。

鉄道インフラは新興国を中心に需要が伸び、政府がインフラ輸出の柱の1つと位置づける分野です。民間企業の試験施設ですが、ほかのメーカーでも利用できるようにするということで、日本の技術を結集し、国際競争力につなげようという意気込みを感じました。三原市は、かつて明治から戦後にかけて鉄道の関連施設が集まって栄えた場所で、海外からの受注が増えて、再び鉄道の町として世界にも知られることになるのか注目したいと思います。

松山に集まる台湾の観光客

松山放送局
石田 一真

年々、増え続ける外国人観光客。ここ数年、京都から広島を経由して松山に至る観光ルートが注目されるようになっています。松山市の観光名所、道後温泉周辺のホテルや旅館に去年、宿泊した外国人旅行客は、統計を取り始めてから最も多い1万4,000人余りとなりました。このうち半数近くが台湾からの旅行客です。

台湾には温泉好きな人が多いうえ、台湾には大きな橋がないため、島と島をいくつもの橋でつなぐ「しまなみ海道」にも人気が集まっているということです。また、台湾の台北市に「松山」という字を書く地名があることも、親近感を感じさせているといいます。

松山に観光客を送り出す台湾の旅行会社は増えていて、日本語を話せる社員を雇ったり、無料通話アプリの「LINE」を使って、日本の旅行会社を通さずに積極的にホテルや旅館に売り込みをかけたりしています。確かに、道後温泉の商店街を歩いていると、以前よりアジア系の観光客の姿を多く見かけるようになりました。こうした動きは、消費増税後の地域のサービス業を見るうえで、心に留めておきたいポイントだと感じています。

消費の現場に増税の影響残る

福岡放送局
大江 麻衣子

九州沖縄では、小売の現場で消費増税の影響が続いているところがあります。日銀福岡支店が今月発表した九州沖縄の企業の短観も、景気判断が小幅ながら悪化しました。

九州最大の商業都市、福岡市のデパートでは、消費税率引き上げの影響を口にする客が今もいます。中心部・天神のデパートでは、4月は増税前の駆け込み需要の反動で、売り上げが去年より10%以上減少。数か月で戻ると見込んでいましたが、夏の天候不順もあり、客足は伸びませんでした。

そこで、秋物の衣料品の販売を例年より前倒しするなどの販売戦略を構築、8月になってようやく売り上げが去年並みに回復しました。回復の時期は、想定より1か月ほど遅かったと言います。

一方、引き続き心配なのが、消費税率の10%への引き上げです。引き上げが実施されることになれば、ようやく戻りつつある消費意欲が再び冷え込むのではないかと警戒しているのです。デパートでは「固いお財布のひもを、こちらが提供できる商品でどう開けていただけるか、私どもの努力しだいです」と気を引き締めています。

バター不足で乳価いち早く値上げ

札幌放送局
宮本 雄太郎

全国的なバター不足など牛乳の生産量減少の影響が広がるなか、牛乳の価格「乳価」の値上げが決まりました。乳価はここ数年、春以降に決められていましたが、年明け早々のこの時期に決まるのは異例です。

北海道で牛乳の集荷を行う生産者団体「ホクレン」は1月9日、平成27年度の乳価について、大手・中堅の乳業メーカーと1キロ当たりの平均で3円60銭値上げすることで合意したと発表しました。

背景には、飼料高騰などのコスト上昇で経営難を理由に離農する酪農家が相次ぎ、全国的にバターが不足するなど影響が広がっていることへの関係者の危機感があります。今回の乳価の値上げで、道内の標準的な酪農家で年間213万円の増収になるということで、酪農家の生産意欲が向上し、牛乳の生産量減少に歯止めがかかるか注目されます。

一方、乳価の値上げは乳製品への価格転嫁につながる可能性もあり、酪農の現場の厳しい状況を消費者に理解してもらえるよう、丁寧に説明していくことも求められていると思います。

常磐道全線開通で復興加速へ

福島放送局
金澤 隆秀

東日本大震災と原発事故からの復旧・復興が最大の課題の福島県の沿岸部。まもなく震災から4年を迎えようとするなか、常磐自動車道の全線開通への期待が高まっています。

この地域は原発事故の避難区域によって南北に分断され、人の行き来、物流がストップしました。それが、去年12月、避難区域に指定されている福島県浪江町より北側が仙台方面まで直接、つながり、ことし3月1日には関東方面とも結ばれ、30年以上の工事を経て、常磐自動車道が全線開通する見通しです。

それまで気軽に行き来できていた地域が、何時間も大まわりをして移動しなければならない不便さ。そのことが復興への意欲をも奪っている現実。常磐自動車道の全線開通は都市圏からの交通アクセスを大幅に改善し、復興の起爆剤になると期待されています。

福島県では、政府と連携して原発の廃炉作業を担うロボット産業などを集積する「イノベーション・コースト構想」も進めています。まずは人が働ける環境を整えることが着実な復興につながると感じています。

消費増税後の試行錯誤が続く

首都圏センター
井口 貴雄

消費増税後、伸び悩んでいる個人消費。消費意欲をどう刺激すればよいのか、都内のホームセンターでは試行錯誤が続いています。

私が取材したホームセンターでは、去年4月の消費税率引き上げに伴う売り上げの落ち込みは、夏以降には回復すると見ていました。しかし、夏を過ぎても家電製品の売り上げの伸び悩みが続き、主力商品の家具も店頭での売り上げが回復していません。

これに追い打ちをかけているのが円安です。海外から輸入している商品は円安で仕入れ値が上昇。しかし、消費が弱い状況で値上げをすれば、売り上げが落ち込むおそれがあるため、一部の商品の販売価格を据え置いたままです。その一方で、なんとか売り上げを伸ばそうと、店舗の外に会場を借りて家具を販売するイベントを開催するなど、消費を刺激するための模索を続けています。

消費の伸び悩みが続くなかで、今後、焦点となるのが賃金の引き上げです。来月から労使の本格的な交渉がはじまる春闘の行方は、消費の先行きにも影響を与えるだけに、その行方に注目しています。

幸福度日本一の地域活性化は?

福井放送局
水谷 厚彦

「幸福度日本一」の福井県。行政や経済界は、この点をPRして人を呼び込み、人口流出に歯止めをかけたいとしています。

高い持ち家率、待機児童ゼロ。福井県の調査では、人口1万人当たりの事業所数も595社で全国1位です。繊維や眼鏡、漆器といった伝統産業が盛んで、有効求人倍率は1・4程度と高水準が続いています。こうした点が評価され、福井県は大学や民間シンクタンクの「幸福度ランキング」で全国1位とされています。

地元もこれを誇りに思っています。一方で、去年、県内の人口は35年ぶりに79万人を割り込みました。進学や就職をきっかけに都市部に流出する若年層が多く、人口減少にどう対応するかが課題です。Uターン就職の説明会を取材すると、「県内に魅力的な働き口が少ない。求人倍率が高くなっても、見かけ上でありがたいと思わない」という声を聞きます。

幸福度日本一とされる福井県がどうやって企業誘致や若い世代の定住を図っていくのか。中長期を見据えた取り組みをウォッチしていきます。

真ん中経済

津放送局
今橋 立子

三重県の経済の特徴を表した表現です。本州の中央に位置するだけでなく、人口や事業所の数などさまざまな面で全国のほぼ中間の順位が多い三重県ですが、20年に一度、大きな景気の波が必ずやってきます。

それは、伊勢神宮で社殿などを造り替えてご神体を移す「式年遷宮」です。「式年遷宮」を迎えたおととし、三重県を訪れた観光客は初めて年間4000万人を超えました。その数をいかに減らさないようにするかが目下の大きな課題です。このため強化しているのが外国人観光客の誘致です。

去年10月からの消費税の免税対象品の拡大が後押しになると期待されていました。しかし、地元の土産物店などには高い壁が立ちはだかっていました。免税にするには書類の作成など手続きが複雑なうえ、商品の包装方法まで細かく決められていて、手間も費用もかかります。

外国人観光客への対応に時間がかかり、「日本人客を待たせてしまっては元も子もない」という声まで聞かれます。中小零細の土産物店が多い三重県では、免税対象品の拡大の恩恵は十分受けられていないのです。

電気料金値上げが懸念材料

大阪放送局
中村 宇雄

関西の景気の懸念材料として新たに浮上しているのが電気料金の値上げです。関西電力は原子力発電所の停止で財務状況の悪化に歯止めがかからないとして、ことし4月から家庭向けの電気料金を平均で10.23%、企業向けを平均で13.93%値上げする方針を打ち出しました。

関西電力はおととし春に電気料金を大幅に値上げしたばかりです。私が取材した大阪の町工場は、前回の値上げをきっかけに工場の電灯を200万円かけて消費電力の少ないLEDに取り替えるなど、節電に取り組んできましたが、それももう限界だと言います。

工場の経営者は「これ以上の電気代の値上げはわれわれに死ねと言うのと同じだ。関西電力は企業努力が甘い」と厳しい口調で話していました。消費増税や円安による物価の上昇に加えて、電気料金も値上げされれば、消費者の節約志向がさらに強まることが予想されます。ことしは景気回復が期待されていますが、関西の多くの企業は景気の先行きについて慎重な見方を崩していません。

中心部に大規模商業施設

岡山放送局
氏家 寛子

地方の大型商業施設と言えば郊外の幹線道路沿いにあるのが主流ですが、岡山市ではJR岡山駅から徒歩僅か5分の中心部に西日本最大規模の商業施設がオープンしました。

先月オープンした「イオンモール」は、9万2000平方メートルに海外の人気ブランドなど356の専門店が出店する巨大な商業施設です。駅に直結し、通勤途中のビジネスマンや公共交通機関を使うシニア層も取り込むことで年間2000万人以上の集客を見込み、中心市街地の活性化につながることが期待されています。

一方で、近くの商店街では売り上げの減少が不安視されているほか、大規模な渋滞も懸念され、周辺の道路では新たな交通規制が設けられるなどの対応もとられました。岡山県の人はこれまで関西方面に買い物に行く機会が多かったのですが、娯楽や文化施設なども備えたこの施設は人の流れを一変させる可能性があります。

全国的にも珍しい都市中心部への大型商業施設の進出が、まちづくりや日々の暮らしにどのような影響を与えるのか、注目していきたいと思います。

気になる円安や春闘の行方

高松放送局
真方 健太朗

高松市の建設機械メーカーは、円安で国際的な価格競争力が増したことで、今期、大幅に業績を伸ばしています。油圧式の大型クレーンで世界シェアの3割を占めるこの会社は、売り上げの半分程度がアジアや中東など海外向けによるもので、去年9月までの中間決算では売上高が過去最高となりました。

地元の経済団体の新年交流会で、会社の専務は「この調子で行けば、通期でも過去最高の売り上げを達成できそうだ」と自信をのぞかせていました。主要産業の造船業でも、今年度上半期の受注実績が2割増えるなど、円安の恩恵が広がっています。

一方、地元金融機関のトップが「サービス業など円安による原材料価格高騰のあおりを受けた企業も多い」と冷静に話すなど、円安のマイナス面を強調する意見や、為替の安定を望む声も聞かれました。さらに、消費増税以降、デパートの売り上げも前年を下回る状況も続いています。

四国経済を見るうえでも、円安や春闘の行方が重要なポイントになりそうです。

中心部の活性化につながるか

大分放送局
松山 翔平

大分県では、景気回復の波が十分に届いていないという声が多く聞かれます。こうしたなか、大分市中心部では「100年に一度」とも言われる大規模な再開発が進められています。

大分市中心部ではことしの春、JR九州が大分駅におよそ180のテナントや温泉施設が入った新しい駅ビルを開業させるほか、世界的な建築家がデザインした県立美術館などもオープンします。特に駅ビルについては、年間の売り上げがおよそ200億円に上ると試算されています。こうした新たな施設は、街のにぎわいを取り戻すきっかけになると注目が集まる一方、売り上げの減少に苦しむ中心部の商店街では、新たに生まれる人の流れをどのように取り込むかが課題となっています。

大規模再開発による効果を地域経済の浮揚にどう結びつけていくのか、人を呼び寄せるアイディアや仕掛けを具体的に形にしていくことが求められています。