ニュース特設

マイナス金利 広がる影響

日銀が導入した異例のマイナス金利。世の中の金利全般が急激に低下し、預金や住宅ローンなど私たちに身近なところにまで良くも悪くも影響が広がっています。

長期金利 過去最低を更新6月16日

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16日の国債の市場では取り引き開始直後から投資家が日本国債を買う動きを強め、国債の価格が上がりました。国債は価格が上昇すると利回りが低下するという関係にあるため長期金利の代表的な指標になっている満期までの期間が10年の国債の利回りは一時、マイナス0.21%まで低下し過去最低を更新しました。

満期までの期間が10年の国債の利回りが過去最低を更新するのは5営業日連続です。 これは、来週23日にイギリスで行われるEUからの離脱の賛否を問う国民投票で仮に離脱が決まった場合、世界経済に及ぶ影響への警戒感から投資家の間で比較的、安全とされる国債に資金を振り向ける動きが広がっているためです。

大和証券・金融市場調査部の山本徹チーフストラテジストは「23日に、行われるイギリスの国民投票でEUからの離脱が支持されるという見方が優勢になっていることや、アメリカの金融政策の決定会合を受けて、利上げのタイミングが遠のいたという見方が出て長期国債の利回り低下につながっている。つまり、アメリカやヨーロッパといった日本国外の状況の不透明さを強く受けている状態だ」と話しています。

今後の見通しについては「市場では日銀が来月の金融政策決定会合で追加の緩和に踏み切るという見方もあり、マイナス金利の幅がさらに拡大されれば、すべての種類の日本国債の利回りがマイナスとなる可能性もある」としています。

三菱東京UFJ銀 国債入札の特別資格返上へ6月14日

関係者によりますと三菱東京UFJ銀行は、国債の入札に有利な条件で参加できる「国債市場特別参加者」と呼ばれる資格を国に返上する意向を財務省に伝え、近く、正式に返上する見通しになりました。

この資格は、国が国債の安定消化を図るため大手の銀行や証券会社に付与しているもので財務省と意見交換ができる一方、すべての入札で発行予定額の4%以上の応札が義務づけられます。三菱東京UFJ銀行は、日銀のマイナス金利政策の影響で多くの日本国債の利回りがマイナスまで低下し、国債の保有が負担になっているとして資格を返上するもので、国内の大手銀行では初めてとなります。

銀行側では、この特別な資格を持つグループの証券会社に入札の業務を集約することで、国債の需給に大きな影響が出ないようにするとしていますが、日銀によるマイナス金利政策の影響は、日本を代表する金融機関と国債を発行する国の関わり方にも及ぶ形となりました。

積み立て型傷害保険 販売停止の動き6月13日

一般的な積み立て型の傷害保険は、交通事故などでケガをした場合に保険金が支払われるうえに、契約が終わると保険料とほぼ同じ金額が返ってくるのが特徴です。
損害保険大手の東京海上日動火災は、積み立て型の傷害保険の販売をことし10月に停止することを決めました。

損害保険ジャパン日本興亜は、積み立て型の傷害保険のうち、保険料の払い込みが終わって一定の年齢になると給付金を受け取れる年金払いの商品の販売を6月7日から停止しました。これは、日銀のマイナス金利政策の影響で金利全般が低下するなか契約者から預かった資金の運用が難しくなっているためです。

確定拠出年金の販売強化の動き6月12日

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「確定拠出年金」は、毎月の掛け金に運用益を加えた額を公的年金に上乗せして支給される私的年金で、来年1月からは専業主婦や公務員なども加入できるようになります。損失が出るリスクもありますが、運用で得られた利益に税金がかからず、掛け金にあたる金額が所得から控除されるなど税制上の優遇措置があり、金融機関各社が販売を強化しています。

このうち大手生命保険会社は、6月から税理士の業界団体と協力して確定拠出年金の普及を図る取り組みを始めました。この会社では税制上の利点をまとめた冊子をつくって税理士が顧客と会う際などに活用してもらい自社が扱う確定拠出年金の販売につなげるねらいがあります。第一生命の宮田康弘執行役員は「低金利の中でも資産を増やしたいという需要に応える商品として、販売に力を入れたい」と話しています。

また一部の大手銀行が担当部署の人員を増やすなど、金利の低下で資産の運用先に悩む人たちの需要を見込んで、確定拠出年金の販売を強化する動きが広がりはじめています。

住宅ローン 借り換え相次ぐ

日銀のマイナス金利政策で、長期金利の代表的な指標とされる満期までの期間が10年の国債の利回りがマイナスになるなど金利全般が低下し、各大手銀行は住宅ローンの金利を過去最低の水準まで下げています。

「三菱東京UFJ銀行」と「三井住友銀行」は、10年固定の住宅ローンの金利について、6月1日から最も優遇する場合でこれまでの年0.9%を0.85%に引き下げます。また、同じく最も優遇した場合の金利を「りそな銀行」はこれまでの年0.85%から0.8%に、「三井住友信託銀行」は年0.55%から0.5%にそれぞれ引き下げます。ただ、「みずほ銀行」は5月に年0.8%に引き下げた金利を据え置いています。

借り換える人急増も…

この結果、返済中の住宅ローンを借り換える人が急増しており、大手銀行5行の合計で、4月の住宅ローンの借り換えの申し込み件数は去年の同じ月と比べて3.3倍に上っています。これに対して4月の新規の住宅ローンの申し込み件数は5行で10%の増加にとどまっています。

日銀は、住宅ローンの借り換えによって、返済の負担が軽くなれば、消費に回すお金が増えるとしていますが、個人消費の実態を正確に把握しようと、日銀が公表を始めた指標でも消費の回復は確認されていません。また、マイナス金利政策で企業による積極的な投資を促そうとしていますが、投資の資金を貸し出す大手銀行の経営トップからは企業は投資の増加になお慎重だという声が相次いでいます。

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「フラット35」金利が8か月ぶり上昇

「フラット35」は住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して取り扱っている住宅ローンで、最長で35年間、金利が固定されます。
このうち利用者が最も多い▽返済期間が21年以上35年以下で▽借り入れる額が住宅の購入額の90%以下の場合、6月は最も低い金利が先月より0.02%上がって年1.1%となりました。金利の引き上げは8か月ぶりです。
住宅金融支援機構は今回金利を引き上げた理由について、指標となる長期金利の低下がこのところ鈍化していることを受けたものだとしています。

預貯金の金利 引き下げ

普通預金 0.001%に

三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行は、日銀がマイナス金利政策を始めたことで、さまざまな金利が低下しているとして、2月、普通預金の金利を0.001%まで引き下げました。大手銀行では、りそな銀行も普通預金の金利を0.001%に引き下げています。

利用者が10万円を1年間預けた場合、単純計算で利子が1円しかつかない計算です。

定期預金

みずほ銀行は、定期預金の金利を一律で0.01%に引き下げたほか、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行も、定期預金の金利を引き下げました。こうした動きは、地方銀行でも相次いでいます。

ゆうちょ銀行

銀行の普通預金にあたる通常貯金の金利を0.001%に引き下げました。また、10万円以上預けた場合、0.025%の金利がつく通常貯蓄貯金も、同じく0.001%に引き下げました。

個人の資産運用にも影響

生命保険大手 予定利率引き下げ

生命保険大手の日本生命は、4月以降、新たに契約する一時払い終身保険について、契約者に約束する利回りの予定利率を年0.75%から0.5%に引き下げました。例えば、50歳の男性が500万円の保険金を受け取れる契約をする場合、保険料はこれまでより31万円余り多い468万円余りに上がります。

日銀のマイナス金利政策の影響で、資金の運用先である国債の利回りが大きく低下し、契約者に約束している利回りを確保することが難しくなったためです。一時払い終身保険は、契約時に一度に保険料を支払う保険商品で、銀行の定期預金などより高い利回りを得られる可能性があるため、退職金の運用先などとして人気があります。

生命保険大手では、第一生命、明治安田生命、住友生命も同じように一時払い終身保険の予定利率を引き下げています。

かんぽ生命も予定利率引き下げへ

「かんぽ生命」は、マイナス金利政策の導入で国債の利回りが低下し運用が難しくなっているとして、ことし8月から、養老保険・終身保険・学資保険・定期保険の4種類の保険すべてで、契約者に約束する利回り「予定利率」を現在の年1.5%から年1.0%に引き下げます。

貯蓄性の高い商品では保険料を一部引き上げ、例えば40歳の男性が死亡した場合に300万円を受け取ることができる終身保険にことし8月以降、入る場合保険料は11.4%上がって月額で1万9110円になるということです。

また、学資保険のうち死亡保障がない代わりに満期時に受け取れる学資金が高い商品と、年金保険の販売を6月2日から停止しました。

MMF扱う全11社が運用終了へ

日銀のマイナス金利政策の影響で主な運用資産である国債の利回りが大きく低下するなど投資環境が厳しくなったことから、「野村アセットマネジメント」は6月3日、国債などで運用する投資信託のMMFの運用をやめて資金を投資家に返す「繰り上げ償還」を実施すると発表しました。

これでMMFを扱っていた国内の資産運用会社11社すべてが繰り上げ償還を実施することになります。

MMFはリスクの高い株式を避け、比較的安全とされる国債や社債などで運用する投資信託で、個人の金融資産を証券投資に呼び込むための入り口となる投資商品と位置づけられていました。

個人向けの金融商品として人気を集めたMMFは、去年12月末時点で純資産総額が1兆6400億円余りに上っていましたが、確定拠出年金向けに運用されている一部を除いてほぼ姿を消すこととなりました。

企業業績に“影”

マイナス金利の影響が思わぬところに出ています。それは、わたしたちの退職金や年金に関わる部分です。

企業は、従業員の退職金や年金の支払いに備えて必要な金額を「退職給付債務」として積み立てています。資金は、従業員の退職までの期間、国債などで資金を運用していますので、「退職給付債務」は将来、運用で得られる分を見込んで積み立ては少なくて済みます。しかし、マイナス金利の導入で、国債の一部の利回りがマイナスとなったことから見込めなくなった金額を費用として計上することを迫られるケースが相次いでいるのです。

大手住宅メーカー「大和ハウス工業」の場合、ことし3月期の決算で、「退職給付債務」が膨らんだことにより849億円の特別損失を計上しました。このほか、「住友林業」はことし3月期の決算で、退職金などの関連費用として115億円を計上、「LIXILグループ」はことし3月期の決算で、国内の退職金の関連費用として108億円を計上しました。「日清食品ホールディングス」は来年3月期の業績予想について、「退職給付債務」として45億円を上乗せするとしています。

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マイナス金利とは

日銀は、1月29日、日本で初めてマイナス金利政策の導入を発表し、2月16日から導入しました。マイナス金利は、金融機関から日銀の当座預金で預かっている一部の預金の金利をマイナスに引き下げる政策です。

金融機関は、預金を預金者にきっちり支払うことができるよう、日銀の当座預金に預金することが法律で義務づけられています。しかし、大規模な金融緩和のもとで、金融機関は余った大量の資金を日銀に預けていて、日銀はこの部分に0.1%の金利をつけていました。日銀は、当座預金の一部の金利について、2月16日からー0.1%に下げることを決定しました。

銀行が日銀の当座預金に余分なお金を預けると、ペナルティーとして「手数料」を取るというもので、銀行のお金を貸し出しや投資に回すよう促し、経済の活性化やデフレ脱却につなげようというねらいがあります。

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長期金利 初のマイナスに

国債の市場では、2月9日、長期金利の代表的な指標になっている満期までの期間が10年の国債の利回りがー0.035%まで低下。長期金利が国内で初めてマイナスになりました。
3月18日には、ー0.135%まで低下。6月16日には一時、−0.21%まで低下し、過去最低を更新しました。

長期金利がマイナスになるとは

国債の利回りがマイナスになる仕組みについて、投資の経験のない一般の人にも話を分かりやすくするため、満期までの期間が1年の架空の国債で考えてみます。

例えば、額面の価格が100円で、年1円の利子がつく国債があったとします。この国債の利回りは年1%で、1年間持ち続けると1円もらえ、最終的に101円が手に入ることになります。

この国債の人気が高まって、買う人が増えれば国債の市場での価格は値上がりします。仮にこの国債の市場での価格が105円まで値上がりしたとします。

投資家がこの国債を105円で買い、満期まで1年間保有した場合、得られるのは、1年間の利子1円と額面の100円、合わせて101円です。105円投資したのに合わせて101円しか得られず、4円の損失が出る計算です。 つまり、投資に対して損失が出て利回りがマイナスになります。

これが国債の利回りがマイナスになるということです。

個人への影響は

国債を個人で買って持っている人は、満期まで保有していれば金利がマイナスになることはありません。

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