ニュース特設

マイナス金利の行方

日銀が、デフレ脱却に向けて異例のマイナス金利政策を導入してから1年余り。この間、世の中の金利が大幅に低下し、住宅ローンの借り換えが活発になるなどの効果があった一方、物価は思うように上昇せず、個人や企業の資産運用が難しくなる副作用もあらわれています。

長期金利 5か月ぶりに0.1%に上昇2017年7月6日

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6日の国債の市場では、午後に入って国債を売る動きが優勢となりました。国債は、価格が下がると利回りが逆に上昇する関係にあるため、長期金利の代表的な指標である満期までの期間が10年の国債の利回りは一時、0.1%とことし2月以来、およそ5か月ぶりの水準まで上昇しました。

海外市場では欧米の中央銀行が追加の利上げや金融緩和の縮小に向けた議論を進める中、このところ長期金利が上昇傾向にあり、日本の市場にも波及した形です。

市場関係者は「日銀は長期金利を0%程度に誘導する金融政策を導入しているが、金利が上昇した場合、どういった対応を取るのかを見極めたいとして一部の投資家の間で投機的に国債を売る動きが一時みられた」と話しています。

マイナス金利でMMF 事実上姿消す2017年6月13日

MMFはリスクの高い株式を避けて、比較的安全とされる国債や社債などで運用する投資信託で平成4年に販売が始まり、バブル崩壊で“安定した利回り”の商品を求めていた投資家のニーズをとらえ人気を集めました。

しかし、日銀が去年2月にマイナス金利政策を導入すると、主な運用資産である国債の利回りが大きく低下して投資環境が厳しくなり、各社はMMFの運用をやめて資金を投資家に返す「繰り上げ償還」を相次いで行いました。

その結果、マイナス金利の導入前、1兆6000億円余りに上ったMMFの純資産総額は急激に減少し、投資信託協会によりますと5月末で残高がゼロになったということです。
これによりMMFは販売開始から25年で事実上、姿を消すことになり、マイナス金利という異例の金融政策が個人の資産運用にも大きな影響を及ぼしています。

大手4行 住宅ローン金利引き上げ2017年5月31日

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6月1日から適用される10年固定の住宅ローンの金利について、大手銀行のうち4行はこのところの長期金利の上昇などを受けていくぶん引き上げます。

これは銀行が住宅ローンの金利を決める際に参考としている長期金利がこのところ上昇していることなどを受けたものです。

このうち、三菱東京UFJ銀行は、1日から適用される10年固定の住宅ローンの金利を最も優遇する場合でこれまでの年0.7%から年0.75%に引き上げます。

また、三井住友銀行とりそな銀行は、これまでの年1%から年1.05%に、三井住友信託銀行は年0.6%から年0.65%にそれぞれ引き上げます。

一方、「みずほ銀行」は、年0.85%で据え置きます。

「フラット35」は3か月ぶり上昇

長期固定型の住宅ローン、フラット35の6月の金利は、指標となる長期金利が上 がったため、最長35年のローンで最も低い金利が1.09%と、3か月ぶりに上昇しました。

「フラット35」は、住宅金融支援機構が民間の金融機関と連携して取り扱っている住宅ローンで、最長で35年間、金利が固定されます。実際の金利は、金融機関によって異なりますが、利用者が最も多い返済期間が21年以上、35年以下で借り入れる額が住宅の購入額の90%以下の場合、今月は最も低い金利が先月より0.03ポイント上がって年1.09%となりました。

住宅着工戸数 2年連続で増加2017年4月28日

国土交通省によりますと、昨年度1年間に全国で着工された住宅の戸数は97万4137戸で、前の年度より5.8%、増加しました。着工戸数が増えたのは2年連続です。
内訳を見ますと、賃貸住宅を示す「貸家」が42万7275戸で前の年度より11.4%増え、リーマンショックのあった平成20年度以来の高い水準でした。

これは、相続税の課税強化を背景に土地を持つ人が相続税を抑えようと賃貸住宅を建てる動きが活発になったことや、日銀のマイナス金利政策の影響で金利が低い状況が続き、資金を調達しやすくなっていることなどが背景にあります。

国土交通省は、貸家の増加について「地域によっては空室率が上昇したり、賃料が低下したりする状況が見られる。今後は、節税対策を目的とした建設需要が引き続き高い一方で、貸家の供給過剰で地主の意識にブレーキがかかる可能性もあり、市場や金利の動向を注意深く見ていきたい」と述べました。
このほか、注文住宅を指す「持ち家」も29万1783戸で2.6%増えたほか、マンションや建て売り住宅を指す「分譲住宅」も24万9286戸で1.1%増えました。

日本生命 一部の保険料値上げへ 2017年2月2日

生命保険最大手の日本生命は、日銀のマイナス金利政策の影響で、契約者から預かっ た資金の運用が難しくなっていることから、一般的な保険商品の一部で、ことし4月 から保険料を値上げすることを決めました。値上げするのは、毎月または毎年、保険 料を支払うタイプの「終身保険」や「年金保険」などです。

例えば、40歳の男性が死亡時に300万円が支払われる「終身保険」に加入した場 合、毎月の保険料は現在の1万1178円から2475円高い1万3653円になり ます。

今回の値上げは、日銀のマイナス金利政策の影響で国債の利回りが大幅に低下し、契 約者から預かった資金の運用が難しくなっているためです。

日本生命は去年、貯蓄性が高い一時払いの保険商品の保険料を値上げしましたが、今 回は、保険料を毎月または毎年支払う、より一般的な保険商品も値上げすることにな りました。

ほかの生命保険各社も保険料の値上げを検討していて、マイナス金利政策の「副作 用」と言われてきた保険会社の運用難による家計への影響はさらに大きくなりそうで す。

日銀 マイナス金利決定から1年2017年1月29日

活況の住宅ローン 副作用も

マイナス金利政策の影響で、活況を呈した代表例が、「住宅ローン」の市場です。

ローンの金利が過去最低の水準に低下し、特に借り換えの申し込みが急増しました。大手銀行5行のまとめによりますと、去年(平成28年)3月の1か月間で、借り換えの申し込みは、前の年の同じ月の3.6倍にあたるおよそ2万400件に上りました。しかし最近は、長期金利がいくぶん上昇したこともあって、借り換えの勢いは鈍化しています。

住宅ローンの借り換えと並んで増えたのは、企業が資金を調達するための「社債」の発行です。

証券最大手の野村証券によりますと、去年1年間に企業が発行した社債の額は10兆3000億円余りと、前の年より33%増加しました。返済までの期間が15年以上のいわゆる「超長期債」を発行する企業が増え、なかには期間が40年に及ぶ社債を発行する企業もありました。

一方、マイナス金利政策には「副作用」も指摘されています。

特に地方銀行は、企業や個人への貸し出しの金利を引き下げざるを得ず、さらに“利ざや”が縮小したことで、収益が圧迫されました。

金融庁のまとめによりますと、全国の地方銀行に「埼玉りそな銀行」を加えた106行の去年9月の中間決算は最終的な利益の総額が、前の年の同じ時期と比べ14%減少しています。

また生命保険会社の間では、契約者から預かった資金の運用が難しくなったとして、貯蓄性の高い保険商品の販売をとりやめたり、契約者に約束する利回りを引き下げたりする動きが相次ぎました。

“賃貸バブル”への警戒強める

マイナス金利政策による金利の低下で資金を借りやすくなった個人や不動産業者が、投資の一環として賃貸住宅を建設したり購入したりする動きが活発になっていて、日銀は、投資が過熱するいわば“賃貸バブル”とも言える事態にならないか警戒を強めています。

1月24日に東京都内で開かれた不動産投資のセミナーには、個人や不動産業者の関係者らおよそ40人が参加しました。セミナーに参加した埼玉県の森田正治さん(68)は、20年ほど前から不動産関連の投資を行ってきました。マイナス金利政策の影響で金利が一段と低下したのを機に、首都圏のマンションを購入して賃貸住宅として貸し出し、家賃収入を得る投資を考えています。

投資の活発化に加えて、土地を持つ人がマンションなどを建てると相続税の節税にもなることから、賃貸住宅は建設ラッシュとも言える状況になっています。

国土交通省によりますと、去年11月に全国で着工された住宅のうち、賃貸住宅を示す「貸家」の戸数は前の年の同じ月に比べて15.3%増えています。

しかし、投資先の賃貸住宅を探している森田さんは、確実に居住者が見込めるリスクの小さい物件は次第に見つかりにくくなっていると感じています。このため今後は、物件ごとのリスクをより慎重に見極めて投資を判断したいと考えています。森田さんは、「マイナス金利の影響で個人投資家が増え、競争が激しくなっていて、家賃も下落している。下落率が低いような、本当にいい物件を探すのは難しくなっている」と話しています。

こうした個人の資金が賃貸住宅の投資に向かっている状況から、日銀が1月16日に開いた支店長会議では、賃貸住宅の供給が増えて家賃が下落しているという報告が相次ぎました。

日銀は、投資が過熱すれば、いわば“賃貸バブル”とも言える状況が生まれ、その後、賃貸住宅の資産価値が急落する事態にもなりかねないとして警戒を強めています。

生命保険会社に「国債離れ」

契約者から集めた巨額の資金を運用している生命保険会社の間では、マイナス金利政策による金利の低下で国債の利回りが見込めなくなったことから、運用先を見直す「国債離れ」の動きが広がっています。

このうち、運用資産がおよそ27兆円に上る住友生命は、日本国債の買い入れを抑える一方で、為替が変動するリスクはあるものの、より高い利回りが見込める外国の国債や社債の買い入れを増やしています。今後の市場動向によっては国内株式の購入を増やすことも検討するということです。

藤戸方人常務は「非常に低金利なので、日本国債を中心とした運用はなかなか厳しい。そういう面ではマイナス金利政策は決定打だった。これからは、より細やかにリスクをコントロールしながら収益を出す運用をしていく」と話しています。

専門家「将来に自信を持てる環境にしないと」

日銀の金融政策に詳しい調査会社、東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、「全体としては、マイナス金利政策の効果は限定的だった。われわれの世代は将来に不安を抱えているので、金利が下がっても家計や企業は借金を増やそうと思わない。成長戦略や構造改革によって日本経済の将来に自信を持てる環境にしないと、いくら低い金利を日銀が用意しても家計や企業が利用する気になれないのが問題だ」と話しています。

普通預金など残高 過去最高を更新2017年1月12日

日銀は12月、1か月間の平均の通貨量の残高を調べた統計を発表しました。

それによりますと企業や個人が金融機関に預けた普通預金や当座預金などいつでも引き出しが可能な「預金通貨」の残高は、前の年の同じ月より10%増えて594兆円余りに上り、金額は4か月連続で過去最高を更新しました。

一方、定期預金などを示す「準通貨」の残高は前の年の同じ月より1.4%減少しました。

また、投資信託の残高は4%増えたものの、去年4月までは2桁増加していたのと比べると伸びが鈍ってきています。

これは、日銀が去年2月に導入したマイナス金利政策の影響で定期預金の金利が低下し、何年預けてもほぼ一律の金利になってしまったこと、経済の先行き不透明感から投資にお金を振り向ける動きに陰りが見えていることが背景にあります。

日銀では「アメリカのトランプ次期大統領の経済政策をはじめ世界経済の先行きへの不透明感が漂い、より使い勝手がよく安心感のある普通預金にお金を移す傾向が強まっているのではないか」とみています。

トランプ相場で貯蓄性保険の販売再開2016年11月23日

第一生命ホールディングスは、金利の低下を理由に停止していた一部の保険商品の販売を12月から再開することになりました。
販売を再開するのは、第一生命ホールディングスの子会社が銀行の窓口などで販売する円建ての一時払い定額終身保険です。

この会社では、日銀のマイナス金利政策の影響で資金の運用が難しくなったとしてことし3月からこの保険商品の販売を停止していました。
しかし、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利してから政策への期待などを背景にアメリカの長期金利が上昇し、これにつられる形で日本の長期金利も上昇傾向にあることから、一定の運用利回りが確保できると判断し、販売を再開することになりました。

マイナス金利政策の導入以降、大手生命保険会社の間では貯蓄性の高い商品の販売を停止する動きが相次ぎ、個人の資産運用にも影響を及ぼしましたが、長期金利の上昇に伴ってこうした保険商品の販売再開の動きが広がるか、注目されます。

貸出残高 14年6か月ぶり500兆円超2016年10月13日

日銀は毎月、全国の大手銀行や地方銀行などの貸し出しの動向をまとめ、発表しています。9月の企業や個人に対する貸し出しの残高は、去年の同じ月と比べて2.2%増えて502兆168億円となりました。貸出残高の増加は60か月連続で、残高が500兆円を超えるのは14年6か月ぶりです

金融機関別では▽大手銀行など10行の貸し出しは去年の同じ月に比べて0.8%、▽地方銀行の貸し出しは3.4%、▽信用金庫も2.3%それぞれ増加しました。

貸し出しの増加について日銀では「大規模な金融緩和で低金利が続いていることから、地方銀行を中心として賃貸住宅向けのローンが増加した。また、企業買収による資金需要も増えている」と話しています。

日銀 新たに長期金利の目標導入 金融緩和策強化2016年9月21日

日銀は21日まで開いた金融政策決定会合で、これまでの金融緩和策を総括的に検証し、2%の物価上昇率を達成できない理由について、企業や家計の間に根強いデフレ心理があるため、物価の上昇が続くという見方が広がらなかったためと分析しました。

日銀ではこの状況の打開には時間がかかるとみて、金融緩和策を強化するため、金融政策の枠組みを変更することにしました。
具体的には、まず、大規模な金融緩和を続ける期間について、これまでより長い期間にわたることを印象づけるため、「消費者物価指数が安定的に2%を超えるまで資金の供給を拡大する」としました。

そして短期金利と長期金利を目標とする新たな措置を導入し、このうち短期金利の目標は金融機関から預かる当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用するという今の「マイナス金利政策」を継続します。

一方、長期金利については、償還までの期間が10年の国債の利回りが0%程度で推移するよう、年間およそ80兆円のペースで国債の買い入れを進めていくとしています。
そして、金利を目標の水準へ円滑に操作するため、日銀が市場で国債を買い入れる際に利回りを指定して買い入れる方法などをとるとしています。

今回の措置によって日銀は、長期金利の目標を下げるという追加の金融緩和が可能になったとする一方、これまでの金融緩和で長期金利までマイナスになるなど大幅に下がり、保険会社や年金の資金の運用が難しくなっていた副作用に配慮する狙いもあるものとみられます。

マイナス金利政策の副作用を指摘2016年9月21日

日銀は、これまでの金融緩和策を総括的に検証した結果を公表。
マイナス金利政策を含むこれまでの金融緩和策は、短期金利だけでなく「超長期」の金利に至るまで金利全体を押し下げたとしています。この結果、長い期間の金利が低下しすぎたことによって、保険や年金などの運用利回りの低下や企業の退職給付債務の増加につながっているとしています。

こうした現象は「直接的にマクロ経済に及ぼす影響はそれほど大きくない」とする一方で、消費者心理の悪化などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性に留意する必要があると結論づけました。

また日銀は、物価目標の達成に向けて企業や家計の間に、物価が上昇していくという見方が広がることが重要だと位置づけていますが、これが上昇するには「不確実性があり時間がかかる可能性に留意する必要がある」として、今後の金融政策は持続性があり、柔軟に対応できるようにする必要があると結論付けました。

こうした検証結果を踏まえて、日銀は今回、長期金利が0%程度で推移するよう、国債の買い入れを行う新たな措置を導入することを決めました。

「量」と「質」から「金利」へ2016年9月21日

日銀がこれまで進めてきた金融緩和策は「量的緩和」と「質的緩和」、それに「金利」の大きく3つの柱で成り立っていました。

このうち「量的緩和」は、日銀が市場に供給しているお金の量を示す「マネタリーベース」を、年間およそ80兆円増やすというものです。
「質的緩和」は、お金を市場に供給するために、長期国債を保有残高が年間およそ80兆円ペースで増えるように買い入れるほか「ETF」と呼ばれる上場投資信託や、不動産投資信託といった金融商品を買い入れているものです。

そして「金利」は、ことし2月に導入した「マイナス金利政策」です。金融機関が日銀に預けている当座預金の一部について金利をマイナスにする、つまり金融機関からいわば手数料をとる形にすることで金融機関に企業や個人への貸し出しを促す政策です。

しかし異例の規模の金融緩和を続けても、2%の物価目標が達成できていないほか、マイナス金利政策の影響で金利全般が想定以上に低下し、金融機関の収益や個人の資産運用への悪影響が懸念される事態となりました。さらに国債を現在のペースで買い続ける政策は、近いうちに限界があるという指摘もあり、日銀はこうした課題に対応するため、これまでの政策の枠組みを修正した形です。

新たな枠組みの特徴はまず、政策の目標を「金利」に明確に移したことです。
今回の措置では、マイナス金利政策を維持するとともに新たに長期金利の水準を目標として設定しました。具体的には、償還期間が10年の国債の利回りが0%程度の水準で推移するよう国債の買い入れを行うとしています。

一方、日銀が買い入れる国債の「量」については、現在の年間80兆円を目安にしつつも、増減する可能性があるとしています。
このように金融政策の目標を「量」や「質」から「金利」に移したことが今回の変更の大きな特徴で、日銀は従来よりも柔軟で持続性のある金融緩和を続けることができるとしています。

三菱東京UFJ銀の国債の特別資格取り消し2016年7月13日

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財務省は、三菱東京UFJ銀行が国債の入札に有利な条件で参加できる特別な資格を国内の大手銀行として初めて返上すると届け出たことを受けて、指定を取り消すと発表しました。

これは国が国債を確実に発行するため大手の銀行や証券会社に与えている「国債市場特別参加者」と呼ばれる資格で、銀行側は財務省と意見交換ができる一方、すべての入札で発行予定額の4%以上を応札するなどの義務があります。

これについて三菱東京UFJ銀行が13日、資格を返上すると届け出たことを受けて、財務省は15日に参加者の指定を取り消すと発表しました。12年前の平成16年の制度導入以来、この資格を返上する国内の大手銀行は初めてで、資格を持つ金融機関はこれで21社となります。

背景には日銀のマイナス金利政策の影響で多くの日本国債の利回りがマイナスまで低下し、銀行が国債を保有する意義が薄くなっていることがあり、日銀によるマイナス金利政策の影響は、日本を代表する金融機関と国債を発行する国の関わり方にも及ぶ形となりました。財務省は「個別の会社の経営判断にはコメントを差し控える。引き続き市場との対話を適切に行い国債の安定消化に努めていく」としています。

マイナス金利の国債には原則投資せず

三菱東京UFJ銀行は「グループ全体の業務を効率的に運営するため、特別な資格のもとで行ってきた入札などの業務はグループの証券会社に集約するが銀行は今後も、投資家として国債の入札に参加する。グループ全体として安定的な国債発行や流通への責務を果たしていく」とコメントしています。

そのうえで「銀行としては担保として必要な場合を除きマイナス金利の国債には原則として投資しない。今後の経営環境や市場環境しだいでは、特別な資格の取得に向けて再申請をする可能性もある」としています。

マイナス金利で国に“600億”のもうけ2016年7月6日

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国債の利回りがマイナスとなっている影響で財務省が今月行った10年ものの国債の入札では借金をする国がおよそ600億円の「もうけ」を得る事態が生じています。

財務省が金融機関を対象に今月行った満期までの期間が10年の国債の入札では、▽額面が100円、▽表面利率は年0.1%で満期まで保有すると金融機関が利子分をあわせて101円を得られるという条件でした。

入札の結果、平均の落札価格は103円50銭、つまり満期まで保有すると2円50銭、損する価格で落札され平均の落札利回りはマイナスとなりました
このため国は今回の入札で、およそ2兆4000億円の国債の発行に当たり、元本や利子を支払った上でおよそ600億円の「もうけ」を得ることになります。

日銀によるマイナス金利政策の導入を受けて10年ものの国債の入札では、ことし3月以降マイナスの利回りが定着していますが、今月はこれまでで最も大きい「もうけ」が出る形となりました。

こうしたマイナスの利回りでも金融機関が国債を買うのは、大規模な金融緩和で国債の大量購入を続ける日銀により高い価格で買ってもらえると期待しているためです。しかし、日銀にとっては利益の減少につながりかねないため結果的に国が日銀から受け取る「納付金」の減少にもつながり国の財政に及ぼす影響は全体的にとらえる必要があります。

積み立て型傷害保険 販売停止の動き2016年6月13日

一般的な積み立て型の傷害保険は、交通事故などでケガをした場合に保険金が支払われるうえに、契約が終わると保険料とほぼ同じ金額が返ってくるのが特徴です。
損害保険大手の東京海上日動火災は、積み立て型の傷害保険の販売をことし10月に停止することを決めました。

損害保険ジャパン日本興亜は、積み立て型の傷害保険のうち、保険料の払い込みが終わって一定の年齢になると給付金を受け取れる年金払いの商品の販売を6月7日から停止しました。これは、日銀のマイナス金利政策の影響で金利全般が低下するなか契約者から預かった資金の運用が難しくなっているためです。

確定拠出年金の販売強化の動き2016年6月12日

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「確定拠出年金」は、毎月の掛け金に運用益を加えた額を公的年金に上乗せして支給される私的年金で、来年1月からは専業主婦や公務員なども加入できるようになります。損失が出るリスクもありますが、運用で得られた利益に税金がかからず、掛け金にあたる金額が所得から控除されるなど税制上の優遇措置があり、金融機関各社が販売を強化しています。

このうち大手生命保険会社は、6月から税理士の業界団体と協力して確定拠出年金の普及を図る取り組みを始めました。この会社では税制上の利点をまとめた冊子をつくって税理士が顧客と会う際などに活用してもらい自社が扱う確定拠出年金の販売につなげるねらいがあります。第一生命の宮田康弘執行役員は「低金利の中でも資産を増やしたいという需要に応える商品として、販売に力を入れたい」と話しています。

また一部の大手銀行が担当部署の人員を増やすなど、金利の低下で資産の運用先に悩む人たちの需要を見込んで、確定拠出年金の販売を強化する動きが広がりはじめています。

預貯金の金利 引き下げ

普通預金 0.001%に

三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行は、日銀がマイナス金利政策を始めたことで、さまざまな金利が低下しているとして、2月、普通預金の金利を0.001%まで引き下げました。大手銀行では、りそな銀行も普通預金の金利を0.001%に引き下げています。

利用者が10万円を1年間預けた場合、単純計算で利子が1円しかつかない計算です。

定期預金

みずほ銀行は、定期預金の金利を一律で0.01%に引き下げたほか、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行も、定期預金の金利を引き下げました。こうした動きは、地方銀行でも相次いでいます。

ゆうちょ銀行

銀行の普通預金にあたる通常貯金の金利を0.001%に引き下げました。また、10万円以上預けた場合、0.025%の金利がつく通常貯蓄貯金も、同じく0.001%に引き下げました。

個人の資産運用にも影響

生命保険大手 予定利率引き下げ

生命保険大手の日本生命は、4月以降、新たに契約する一時払い終身保険について、契約者に約束する利回りの予定利率を年0.75%から0.5%に引き下げました。例えば、50歳の男性が500万円の保険金を受け取れる契約をする場合、保険料はこれまでより31万円余り多い468万円余りに上がります。

日銀のマイナス金利政策の影響で、資金の運用先である国債の利回りが大きく低下し、契約者に約束している利回りを確保することが難しくなったためです。一時払い終身保険は、契約時に一度に保険料を支払う保険商品で、銀行の定期預金などより高い利回りを得られる可能性があるため、退職金の運用先などとして人気があります。

生命保険大手では、第一生命、明治安田生命、住友生命も同じように一時払い終身保険の予定利率を引き下げています。

かんぽ生命も予定利率引き下げへ

「かんぽ生命」は、マイナス金利政策の導入で国債の利回りが低下し運用が難しくなっているとして、ことし8月から、養老保険・終身保険・学資保険・定期保険の4種類の保険すべてで、契約者に約束する利回り「予定利率」を現在の年1.5%から年1.0%に引き下げます。

貯蓄性の高い商品では保険料を一部引き上げ、例えば40歳の男性が死亡した場合に300万円を受け取ることができる終身保険にことし8月以降、入る場合保険料は11.4%上がって月額で1万9110円になるということです。

また、学資保険のうち死亡保障がない代わりに満期時に受け取れる学資金が高い商品と、年金保険の販売を6月2日から停止しました。

MMF扱う全11社が運用終了へ

日銀のマイナス金利政策の影響で主な運用資産である国債の利回りが大きく低下するなど投資環境が厳しくなったことから、「野村アセットマネジメント」は6月3日、国債などで運用する投資信託のMMFの運用をやめて資金を投資家に返す「繰り上げ償還」を実施すると発表しました。

これでMMFを扱っていた国内の資産運用会社11社すべてが繰り上げ償還を実施することになります。

MMFはリスクの高い株式を避け、比較的安全とされる国債や社債などで運用する投資信託で、個人の金融資産を証券投資に呼び込むための入り口となる投資商品と位置づけられていました。

個人向けの金融商品として人気を集めたMMFは、去年12月末時点で純資産総額が1兆6400億円余りに上っていましたが、確定拠出年金向けに運用されている一部を除いてほぼ姿を消すこととなりました。

マイナス金利とは

日銀は、1月29日、日本で初めてマイナス金利政策の導入を発表し、2月16日から導入しました。マイナス金利は、金融機関から日銀の当座預金で預かっている一部の預金の金利をマイナスに引き下げる政策です。

金融機関は、預金を預金者にきっちり支払うことができるよう、日銀の当座預金に預金することが法律で義務づけられています。しかし、大規模な金融緩和のもとで、金融機関は余った大量の資金を日銀に預けていて、日銀はこの部分に0.1%の金利をつけていました。日銀は、当座預金の一部の金利について、2月16日からー0.1%に下げることを決定しました。

銀行が日銀の当座預金に余分なお金を預けると、ペナルティーとして「手数料」を取るというもので、銀行のお金を貸し出しや投資に回すよう促し、経済の活性化やデフレ脱却につなげようというねらいがあります。