県内の最低賃金 大幅引き上げは? 審議始まる

宮城県内の今年度の最低賃金の引き上げについて議論する審議会が5日から始まりました。
物価高騰の影響が続き、春闘を通じて賃上げの動きも広がるなか、県内の最低賃金も大幅な引き上げがされるかが焦点となります。

最低賃金は、企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金で、都道府県ごとに金額が決められ、宮城県の現在の最低賃金は全国平均の961円を下回る時給883円となっています。
毎年、県内の労働者や雇用者の代表らが集まる審議会が引き上げ額を決めていて、今年度の最低賃金の改定に向けた初会合が、5日仙台市内で開かれました。
はじめに、宮城労働局の竹内聡局長が「県内の経済も緩やかに回復傾向にあると認識している。こうした指標も踏まえて総合的セーフティーネットとしての最低賃金制度が実効あるものとして運営される審議を期待したい」とあいさつしました。
このあと、竹内労働局長が、審議会の会長に審議を進めることを求める諮問書を手渡しました。
審議会では今後、労使双方の意見を踏まえて検討を進め、ことし8月ごろに答申を行う予定です。
物価高騰の影響が続き、春闘を通じて賃上げの動きも広がるなか、県内における最低賃金も大幅な引き上げがされるかが議論の焦点となります。

【最低賃金 過去10年間の推移】
最低賃金は近年、上昇傾向が続いています。
県内では新型コロナなどによる経済状況の悪化で、令和2年は1円の引き上げでしたが、去年は前の年よりも30円引き上げられて、これまでで最大の引き上げ幅となるなど、去年までの10年間で198円上昇しました。
一方、去年までの10年間で全国平均の時給は212円上昇していて、これに比べると宮城県はやや低い上げ幅の推移となっています。
さらに、現在の宮城県の最低賃金883円は、全国平均の961円を83円下回り、全国で29番目の水準となっていています。
最低賃金の引き上げ額の目安は、労使の代表などで作る審議会が、物価の推移や春闘を通じた賃上げの状況、企業の支払い能力などのデータを参考に決めますが、首都圏や大阪府などの都市部と地方の賃金格差をどう是正していけるのかが引き続き課題となっています。