豊見城市で小4男児がいじめで自殺 市など訴えた両親敗訴

8年前、沖縄県豊見城市でいじめが主な要因で自殺した小学4年生の男子児童の両親が、適切な対策をしないまま放置したなどとして市などを訴えていた裁判で、那覇地方裁判所は訴えを退けました。

平成27年10月、豊見城市で小学4年生の男子児童が自殺したことをめぐって市の教育委員会が設置した第三者委員会は、「いじめが自殺の主たる要因だった」と結論づけました。

その後、児童の両親は、学校などはいじめの実態を認識していたにもかかわらず適切な対策をしないまま放置したなどと主張して、市などに対し7500万円余りの賠償を求め裁判を起こしました。

23日の判決で那覇地方裁判所の福渡裕貴裁判長は「自殺の前に実施されたいじめのアンケートの内容に、児童が自殺すると直ちに思わせるようなものが含まれていないことから、児童が自殺する危険が生じていると担任の教諭が予見することができたとまでは認めがたい」などとして訴えを退けました。

一方、福渡裁判長は「当時の市の教育長の記者会見や保護者会での発言が、両親が受けていた風評被害を助長させた」などとして、市に対し両親に合わせて44万円余りを支払うよう命じました。

判決のあと、原告の弁護団は「控訴については、これから検討する」と述べました。

【両親のコメント】
判決を受けて弁護団が記者会見を行い、松森美穂弁護士が両親のコメントを代読し「どのような判決が出ようと息子が帰ってくることはないし、息子を失った悲しみは変わりません。判決内容については、ことばになりません。私たちのような不幸な家族が二度と現れてほしくない。特に学校と教育委員会が事実の隠蔽を図り、遺族を苦しめ続けることなどが二度と起こらないようにしてほしい」と読み上げました。

【豊見城市 徳元市長コメント】
判決を受けて、豊見城市の徳元市長は「判決を精査し、今後の取組に生かしたいと思う。控訴については現時点では未定だ」などとコメントしています。