長野 佐久市と下條村 犯罪被害者支援条例が成立

犯罪被害者やその家族を支援しようと、22日佐久市と下條村で犯罪被害者支援条例が可決・成立しました。
県はすべての市町村に条例の制定を呼びかけていますが、これまでに成立したのはあわせて5つの市町村にとどまっています。

このうち佐久市では、定例議会最終日のきょう犯罪被害者支援条例案の採決が行われ、全会一致で可決・成立しました。
「犯罪被害者支援条例」は犯罪被害者やその家族が転居を余儀なくされたり仕事に行けなくなったりと日常生活に支障が出るケースが目立つなか、公的な支援を行おうと全国の自治体で制定が進んでいます。
来月1日に施行される佐久市の条例には、被害者らに対し一時金の支給を含め経済的な援助を行うことや、日常生活を取り戻すための必要な支援を行うことなどが盛り込まれています。
佐久市によりますと、一時金の額は、遺族に対し30万円、大けがをした人には10万円とする方針です。
また、転居の補助は上限が20万円、報道対応を弁護士に依頼する場合の補助は上限を23万円とする方向で調整しています。
長野県は去年4月に犯罪被害者支援条例を施行し、その後、県内の市町村にも条例の制定を呼びかけています。
22日は佐久市のほか、下條村でも条例が可決・成立しましたが、県内でこれまでに条例を制定した市町村は坂城町、泰阜村、千曲市もあわせて5か所にとどまっています。
2015年に佐久市で中学3年生の息子を交通事故で亡くし、ひき逃げの罪を問う裁判が続いている和田真理さんは3年前から市に対し犯罪被害者支援条例の制定を求めてきました。
22日の条例成立を受けて、和田さんは「あすが息子の8回目の命日なので悲願の条例ができて感慨深いです。突然の犯罪で生活が一変した被害者が生活を立て直すには条例が大きなよりどころとなります。どこに住んでいても支援の手が差し伸べられるよう、ほかの市町村にも条例制定を前向きに検討してほしいです」と話していました。