大槌町では地元出身ミュージシャンが祈りの演奏

岩手県大槌町では地元出身のミュージシャンが地震が起きた時刻にあわせて演奏を披露し、犠牲になった人たちにささげました。

演奏が行われたのは大槌町にある安渡公民館です。

地元・大槌町出身で、東京を中心に活動しているトランペット奏者、臺隆裕さん(28)が、海を見渡せる慰霊塔の前で、サックスや鉄琴とともに童謡「ふるさと」を吹きました。

臺さんは震災当時、高校1年生で、津波で自宅を流されるなどの被害を受けました。

3月11日は大槌町に戻って犠牲者を追悼する演奏を行ってきましたが、この2年間は新型コロナのため、自粛していて地元での演奏は3年ぶりです。

童謡の「ふるさと」には、地元への思いを込めたということで、地震が起きた午後2時46分の2分ほど前から演奏を始め、地元の人たちおよそ40人が聞き入りました。

そして演奏が続く中、2時46分にサイレンが鳴ると、集まった人たちが静かに手を合わせて犠牲になった人たちを悼んでいました。

臺さんは「僕にとっての祈りは演奏することなので、海の向こうの人にも届くように演奏しました。12年経っていろいろなものがなくなってしまいましたが、少しずつ昔のことを思い出し、音楽を通じて伝えていきたいです」と話していました。