大槌町遺族ら 慰霊碑を建てるため庁舎跡地の提供を町長に要望
東日本大震災の津波で、役場関係者40人が犠牲になった大槌町で、10日、遺族や職員の代表が町長と面会し、職員の慰霊碑を建てるため、解体された庁舎跡地の一部を提供するよう求めました。
大槌町では震災の津波で、当時の町長をはじめ、役場関係者あわせて40人が犠牲になりました。
当時の役場庁舎は、4年前の2019年に解体され、跡地では今も活用について検討が続いています。
こうした中、遺族の有志でつくる会や職員でつくる会は、解体された庁舎の跡地に、犠牲になった職員の名前などを刻んだ慰霊碑を建てる計画を進めていて、10日、代表者6人が平野公三町長と面会しました。
そして、会の代表で職員だった娘を亡くした小笠原人志さんが「遺族としては1日も早く手を合わせる場所がほしいというのが本音です」と述べ、慰霊碑のために敷地の一部を提供するよう求める要望書を手渡しました。
これに対し平野町長は「多くの同僚を亡くした悲しみは今も癒えることはありません。犠牲になった職員に手を合わせたいという遺族や職員の気持ちにしっかり応えたい」と応じていました。
大槌町では別の地区で追悼施設の建設が進んでいて、遺族などは、慰霊碑を建てる時期をこの施設の完成とあわせたいとしています。
小笠原さんは「慰霊碑には、家族の生きた証を残すという役割とともにあの日、役場で何があったかということを伝える役割もあります。震災の教訓を後世に伝え、2度と悲劇が繰り返されないようにしてほしいです」と話していました。