土砂災害でベトナム人実習生らが犠牲 椎葉村に再び実習生招く

3年前の台風10号の土砂災害でベトナム人技能実習生を含む4人が犠牲となった宮崎県椎葉村の建設会社が・先月、再びベトナムから2人の実習生を招きました。
災害で家族を失った社長は、今回の実習生についても以前の2人と同じように生活面のサポートを行い、山村での暮らしを支えていきたいと考えています。

再びベトナムから技能実習生を採用したのは、椎葉村の建設会社「相生組」の相生秀樹社長です。

相生組は3年前の台風10号に伴う土砂崩れで事務所などが押し流され、ベトナム人の技能実習生2人と相生さんの妻と息子の合わせて4人が犠牲になりました。

2人は村で初めて受け入れた技能実習生で、相生さんは専用の寮を用意し、休みの日には離れた街まで買い物に連れて行くなどしていました。

被災後は2人の実習生についても家族と同じように捜索を続け、行方が分からなかった1人の死亡認定がされると福岡のベトナム総領事館まで出向いて報告しました。

その相生さんは同じベトナムから再び実習生を迎え入れようと準備を進め、先月下旬、イーカン・アユンさん(26)とファン・ヴァン・ザンさん(20)の2人を採用しました。

2人は、ベトナムでも建設業や林業の仕事をしていたということで、さっそく現場に出て工事の準備をしたり、現場で使う道具の手入れをしたりして仕事を覚えています。

2人は3年前の悲劇を知った上で、椎葉村で働くことを選んだということで、ザンさんは「これから日本語や文化などを学び、ベトナムの家族を養うために働きたい」と話していました。

相生さんが再びベトナムから実習生を迎えたのは、災害復旧でも重要な役割を担う建設会社を今後も維持していくには、若い人材を呼び込むことが欠かせないと考えているからです。

以前の2人と同じ寮に住んでもらい、待遇はほかの日本人社員と同じ水準としているほか、日本語で日記を書いてもらって社長みずから添削するなど、言葉や生活習慣の面でも山村での生活に早くなじめるよう気を配っています。

72歳の相生さんは足を悪くしてことし手術を受け、リハビリを続けていますが、いつかはベトナムを訪れて亡くなった2人の家族に日本での様子を伝えたいという思いを持ち続けています。

相生さんは「亡くなった2人は仕事熱心で村の暮らしにもなじもうとしてくれていた」と話したうえで、「新たな実習生が来てくれたことで地域の人や従業員にも活気が出てきていると感じる。20代で故郷を離れてこの山奥でやっていけるか心配なところもあるが、単なる労働力ではなく、村の住民として働いてもらえるよう責任をもって育てていきたい」と話していました。