「医療的ケア児等支援センター」県内3か所にオープン

病気や障害で人工呼吸器の使用など、日常的なケアが必要な「医療的ケア児」やその家族などを支援するセンターが県内3か所に30日、オープンし、このうち、渋川市で開所式が行われました。

県によりますと、病気や障害で人工呼吸器やたんの吸引などが欠かせない「医療的ケア児」は去年10月時点で県内に361人います。
その家族などの相談に応じる県の「医療的ケア児等支援センター」が県内3か所に30日、オープンし、このうち、基幹的な役割を果たす、渋川市に設置された支援センターで開所式が行われました。
式にはケア児や家族など30人余りが出席し、テープカットが行われました。
支援センターには保健師などスタッフ3人が常駐し、家族などからの相談に応じて必要な支援につなぐほか、人材の育成などに取り組むことにしています。
また、子どもや家族たちが利用できる専用のスペースも設けられ、家族どうしの交流や情報交換の場としての役割も期待されています。
この県の支援センターは高崎市とみどり市にも設置され、30日から本格的な業務を始めています。
医療的ケア児の母親、石川京子さんは「どうしていけばいいのか、悩んでいたこともあったが、センターがようやくできてほっとしている。家族が使いやすい場所になってほしい」と話していました。
県の医療的ケア児等支援センターの浜島昭人センター長は「中核的なセンターとして全県にわたる支援を行うとともに、家族どうしでも交流を深めてもらえるように取り組んでいきたい」と話していました。

「医療的ケア児」の支援の拠点となるセンターの開所について、保護者からはその役割に期待する声が聞かれました。
高崎市に住む石川京子さんの長女の知果さん(11)は生後まもなく細菌性髄膜炎を発症して脳性まひになりました。
自分で食事をとることや水を飲むことができないため、チューブで栄養を送る「胃ろう」を必要としています。
石川さんは8年前、医療的ケア児などの親が支え合いながら子育てができる場をつくろうと、子育てサークルを立ち上げました。
今月27日に渋川市で行われたサークルの会合にはメンバー8人が集まり、ケア児の母親から入浴時の介助方法など、日常生活での悩みや、今後の進学に関する相談などが寄せられていました。
石川さんたち参加者は、それぞれが抱える悩みに耳を傾けた上で、自身の経験を交えながらアドバイスを送るなどしていました。
石川さんは「ケア児の家族が集まって相談し合え、障害のない子どもの子育てと同じように楽しいことを考えられたらいいなと思っていた。今までは困って行政の窓口に行っても『前例がないから』と言われてきたが、支援センターの開所で当たり前に受け入れてくれる空気ができるのではと期待している」と話していました。