子どもが抱える不安 不登校にどう対応

新学期の時期、「学校に行きたくない」と不安を抱えた子どもに、子ども自身、そして周りの大人はどう対応したらいいのか。
不登校に詳しい2人の専門家に取材しました。
専門家は、子ども自身は「学校に行けない自分を受け入れる」、そして大人は「無理に学校に行かせず、好きなことに取り組ませること」が大切だと指摘しました。

話を聞いたのは愛媛大学医学部児童精神科の河邉憲太郎准教授と、臨床心理学博士で子どもの心の問題に詳しい西九州大学の西村喜文教授です。

新学期の時期となる9月は子どもたちに負担がかかりやすく、心に不安を抱える時期だと言われています。

2人の専門家は子どもたちは2つの大きな不安を抱えていると指摘します。

▽1つは、夏休みで崩れてしまった生活を学校の規則正しいリズムに戻さなければいけない不安、それから、▽休み明けの新学期、特に小学校高学年と中学生は、試験が控えている不安があるといいます。

このような不安から、子どもたちは学校に行くことを負担だと感じてしまうということです。

そして、「朝起きられない」、また「学校に行けない」自分を責めてしまうこともあるといいます。

子どもたち自身はこのような自分にどう向き合えばよいのでしょうか。
2人の専門家は▽「学校に行けない自分」を受け入れて、自分を否定しないことが大切だと指摘します。

また、西村教授は▽無理をして学校には行かず、ゲームなどの趣味、何でもいいので自分のやりたいことに少しずつ取り組むことが、最初のステップだといいます。

自分のやりたいことに取り組むことで、「誰かにこの気持ちを共有したい」と思うようになり、気持ちが外に向いていくと話します。

それでは親など周りの大人たちはどう接すればよいでしょうか。

2人の専門家はまず▽無理に学校に行かせないことが大事だと言います。

「学校に行かせなければ」という親の不安が、さらに子どもを不安にさせてしまうということです。

▽また子どもが「自分の不安に共感してくれている」と感じられるよう、「無理しなくていいよ」や、「学校に行けなくてつらいよね」といった共感を示す言葉をかけることが不安の解消につながるといいます。

子どもやその親だけでなく、周囲の大人たちも協力して不登校で抱える不安を少なくできるよう、こうした点を心がけることが大事なことになります。