山口組と神戸山口組 「特定抗争指定暴力団」への指定延長

兵庫県公安委員会は、「特定抗争指定暴力団」の山口組と神戸山口組について、依然として対立抗争が続いているとして、7日からさらに3か月間、指定を延長します。
今回の延長で、県内での指定期間は2年9か月となります。

山口組と、分裂して対立抗争を続ける神戸山口組の取締りを強化するため、兵庫県公安委員会は、おととし1月、2つの組織を「特定抗争指定暴力団」に指定し、3か月ごとの更新を繰り返してきました。
こうしたなか、先月5日には神戸山口組の組長の自宅に銃弾が撃ち込まれ、翌6日には神戸山口組から分裂した絆會の代表の自宅に車が突っ込む事件が相次ぎました。
こうしたことから、兵庫をはじめ大阪や京都など全国9つの府県の公安委員会は7日から指定をさらに3か月間、延長します。
兵庫での更新は10回目となり、効力はことし10月6日までで、県内での指定期間は2年9か月になります。
警察は、依然として抗争が激化するおそれがあるとして、取締りや警戒を続けることにしています。

【山口組など3暴力団の組員数 減少】
山口組は7年前に分裂し、関西を中心とした一部の幹部が神戸山口組を結成し、その神戸山口組から5年前に任侠山口組、現在の絆會が分裂しました。
警察によりますと、3つの組織は、現在も対立抗争を続けているとみられます。
しかし、3つの組織とも構成員が大きく減っています。
分裂前の平成26年末の全国の山口組の構成員は1万300人でした。
おととし1月に、山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団に指定されましたが、その直前の令和元年末時点で、山口組が4100人、神戸山口組が1500人、絆會が300人でした。
そして、去年の年末時点では、山口組が4000人、神戸山口組が510人、絆會が90人とあわせると4600人で、分裂前の半数以下に減っています。
暴力団員が減少している背景にあるのが警察による警戒や取締りの徹底と市民による暴力団排除の動きの広がりです。
県警幹部は「ここ数年で、着実に暴力団排除の動きは全国的にも成果をあげている。暴排は住民の思いがあってこそ進んでいくもので、警察としても、市民に危険が及ばないよう引き続き警戒するとともに暴排のために住民・行政と力を合わせていきたい」と話しています。

【広がる暴力団排除の動き】
兵庫県内では、暴力団員の減少とともに暴力団事務所の撤去に向けた動きが広がっています。
山口組が分裂した平成29年8月以降、住民に代わって県の暴追センターが暴力団事務所の使用禁止の仮処分を求める動きが県内では7件相次ぎ、いずれも認められています。
このうち、淡路市にあった当時の神戸山口組の本部事務所は平成29年10月に、尼崎市にある絆會の本拠は平成30年9月に裁判所から使用禁止が命じられました。
さらに2年半前には、山口組と神戸山口組が「特定抗争指定暴力団」に指定され、現在、警戒区域に設定されている、▽神戸市、▽姫路市、▽尼崎市、▽南あわじ市では、暴力団事務所への立ち入りが禁止されています。
仮に指定が解除された場合、事務所の使用禁止も解除されることから、暴追センターによる仮処分の申し立てに加え、最近は、市民の声を受けて行政や民間企業による買収の動きも出ています。

【淡路市の事例】
山口組から分裂した神戸山口組は淡路市に本部事務所を置き、たびたび会合が開かれました。
立ち退きを求める住民たちの委託を受けた暴追センターが建物の使用禁止を求める仮処分を平成29年10月に申し立て、同じ月に裁判所から使用禁止が命じられました。
その後、神戸山口組は本拠を神戸市に移しましたが、淡路市は周辺の住民を守り、建物がほかの暴力団関係者に渡るのを防ぐため、買い取る必要があると判断し、所有者と協議を続けてきました。
そして、去年12月、3100万円で土地と建物を購入しました。
建物は3階建てでおよそ480平方メートルあり、淡路市は建物の内部を改装した上で、災害時の職員の宿舎として活用することにし、現在、簡易ベッドなど必要な物資を運び込むなど準備を進めています。
淡路市の門康彦市長は「所有者に売却の意向があると警察から情報提供を受けたとき、暴力団事務所を市内からなくすには、今、行政が動くしかないと考え、思い切って購入に踏み切った。これで終わりではなく、この地域が安全・安心で暮らせるように、引き続き、市が見守っていく必要がある。淡路市が先陣を切った暴排への取り組みがほかの自治体にとっても参考になれば」と話していました。

【尼崎市の事例】
暴力団対策法に基づき指定された事務所や施設を自治体が購入するケースはこれまでもありましたが、尼崎市は、去年、全国の自治体で初めて、暴力団員が所有する住宅を直接、買い取りました。
この住宅は、山口組系の暴力団幹部が所有していて、おととし11月、銃弾が撃ち込まれる事件が起きました。
警察は、山口組と対立する神戸山口組がかかわった疑いがあるとみて、捜査をしていますが、現在も犯人はつかまっておらず、住民から不安の声が尼崎市に寄せられていました。
こうした中、去年1月、警察から尼崎市に「所有者に売却の意思がある」という情報が寄せられ、尼崎市は、住民の安全安心を守るため不動産の鑑定を行って交渉し、1900万円で買い取ることを決めました。
住宅は3階建てで広さがおよそ130平方メートルあり、現在、土地と建物あわせて2434万円で売りに出されています。
建物にはいまも銃弾の痕が残り、市のホームページで公開されている説明文書には「本物件は暴力団関係者宅であったが、尼崎市が暴力団を排除し、地域住民の安全安心を確保するために買い取ったものである」と書かれています。
市の暴力団排除条例は「暴力団などを相手方とする契約は締結しない」と定められていますが、尼崎市の担当者は「暴力団にお金が渡ってしまうので、本当に買い取って大丈夫かという話も出ました。内部で議論をし、弁護士にも意見を求めて、暴力団排除に資する取り組みであるということで、条例に違反しないと判断しました。住民の安全と安心が守れてよかったと思っています」と説明しています。

【暴力団排除 行政と住民の連携が不可欠】
暴力団排除の取り組みに詳しい垣添誠雄弁護士は「かつて、暴力団の対策は『警察がやればいい、行政が立ち入るべきではない』というすみわけがあった」と説明し、10年ほど前から、全国各地で暴力団排除条例が施行され、社会全体で暴力団を排除しようという風潮に変わってきたと指摘しました。
その上で、自治体が暴力団事務所などを買い取る動きが出ていることを踏まえ、「行政を動かしたのは市民運動であり、住民の要望がなければ行政は動けない。そして、行政が建物を購入することが市民の暴力団排除の運動をバックアップすることになる。行政の役割は非常に大きい」と述べて、さらに暴力団の排除を進めるには行政と市民の連携が今後も欠かせないと強調しました。