中間市の保育園バス死亡事故 市の検証委が再発防止へ報告書
おととし、福岡県中間市の保育園で5歳の園児が送迎バスの車内に取り残されて熱中症で死亡した事故について、市の検証委員会は、送迎バスの運行体制や出欠確認の体制に問題があったとして、再発防止策などをまとめた報告書を公表しました。
おととし7月、福岡県中間市の保育園で5歳の園児が炎天下に送迎バスの車内に取り残されて熱中症で死亡した事故で、市は、第三者による検証委員会を設置して検証を行い、28日、報告書が公表されました。
報告書では、人手不足を理由に送迎バスに、運転手以外の職員が同乗しておらず、運転手自身が単独で園児の降車確認を行うことを余儀なくされていたことや、被害児童の欠席連絡がないにも関わらず、誰も登園していないことに疑問を抱かないなど、出欠確認システムの欠如が要因になったと指摘しています。
そのうえで、去年9月に静岡県で同様の事故が起きたことも踏まえて、再発防止策として、送迎バスの複数乗車体制の徹底や、送迎バスの乗り降りの際の児童と車内の確認の徹底、それに出欠確認の徹底や、ITを活用した安全装置の導入など6つのポイントを提言し、いずれかに不備があったとしても、フォローできるようにすることが重要だとしています。
また、こうした再発防止策を周知徹底する体制を構築し、国や県が示した指針などを参考にマニュアルを作成し、研修などを通じて定期的に周知徹底を行うべきだとしています。
検証委員会で委員長を務めた、中村学園大学の笠原正洋教授は「園児が亡くなるまでのプロセスに避けられるステップがたくさんあった。子どもの命を守るという意識が欠けていたと思う」と指摘しました。
一方、中間市の福田健次市長は「二度と起きないように改善点を実現して、安心安全な教育、保育の環境を作っていきたい」と述べました。