“発達障害児転校認めず” 大野町に謝罪など求め調停申し立て
岐阜県大野町で、発達障害のある児童が障害の特性に合わせた指導を受けることのできる学区外の小学校への転校が認められなかったとして、母親が町に謝罪と補償を求める調停を22日に裁判所に申し立てたことを明らかにしました。
申し立てを行ったのは大野町の小学校に通う男子児童の母親です。
母親によりますと、児童には発達障害があり、去年4月に入学した町内の小学校で通常の授業を受けながら、毎月2回、隣接する学区の小学校にも通い、発達障害の特性にあわせた指導を受けていました。
ところが去年夏ごろから児童の症状が悪化し、子ども同士のトラブルをきっかけに12月に不登校になったということです。
一方で隣接する学区の小学校には通えていたことから、母親はことし2月、この小学校への転校の希望を教育委員会に伝えましたが認められず、転居を余儀なくされたということです。
このため母親は、教育委員会側がトラブルに適切に対応しなかったことや、転校を認められず転居を余儀なくされたなどとして、町に対して謝罪と補償を求める民事調停を22日に大垣簡易裁判所に申し立てました。
記者会見した母親は「学習の機会を取り戻してあげたい、新しい学校で新しい生活を1日でも早くという思いが強かった」と話していました。
大野町教育委員会は、この児童が隣接する学区の小学校に転校するのを認めなかった理由について、学区外への通学で保護者の送迎が増え負担になることや、転校前の小学校にも児童の障害に対応する特別支援学級があり、新年度からはこの小学校でも児童の発達障害の特性にあわせた指導が始まることなどを考慮した結果、学区外の通学を認める要件に該当しなかったとしています。
そのうえで民事調停の申し立てについて「現時点で教育委員会の対応に問題はなかったと考えているが、弁護士と協議して今後の対応を決めたい」としています。