北塩原村でシカ増加 福島大学研究グループ 対策の必要性指摘
北塩原村で増えているシカを福島大学の研究グループが捕獲して調べたところ、南会津町などで確認されたシカと遺伝的な特徴が同じだったことが判明し、急速に分布を広げている可能性があることが分かりました。
研究グループでは、今後、生態系に影響が出るおそれもあるとして対策を急ぐ必要性を指摘しています。
福島大学の兼子伸吾准教授らの研究グループは、去年8月と10月に北塩原村でシカ2頭を捕獲し、遺伝的な特徴を分析しました。
その結果、1頭はもともと栃木県日光市で多く見られ、2018年に南会津町で確認されたタイプで、もう1頭は尾瀬などで多く見られるものでした。
グループは、北塩原村でこれまでほとんどシカが見つからなかったことなどから、シカが北上して分布を広げている可能性があるとみています。
さらに、遺伝的な特徴が異なる2つのタイプが確認されたことから、北塩原村と周辺の環境がシカの生息に適していて、今後、爆発的に増えて湿原の貴重な植物を食い荒らし、生態系に大きな影響が出るおそれもあるとしています。
このため、グループは正確な個体数の把握など駆除に向けた準備を急ぐ必要があると指摘しています。
兼子准教授は「近年の状況を見ていると、ほぼ確実に県内のより広い範囲に広がるだろう。早めに分布を調べ、対策が打てるように備えておく必要がある」と話しています。