ニホンオオカミ頭の骨が福井市に寄贈される

かつて日本に生息し、100年以上前に絶滅したとされるニホンオオカミについて、鯖江市の住宅で、長らく「魔よけ」として伝わっていた頭の骨が福井市に寄贈されました。

ニホンオオカミは、かつて本州や四国などに広く生息していましたが、100年以上前に絶滅したとされています。
今回寄贈された頭の骨は、鯖江市の住宅の神棚で代々保管されてきたもので、おととし10月、この家の男性から、寄贈の申し出があったということです。
福井市自然史博物館が骨を詳しく調べた結果、その形状や内部の炭素などから、室町時代から江戸時代ごろの、ニホンオオカミの頭の骨だと確認されました。
骨は、鼻の先から後頭部の端までの長さが23センチと、これまでに見つかっているものより比較的大きいサイズで、保管されていた住宅では、魔よけとして病人の枕元に置いたり、近くに住む住民にも貸し出して、病気が治るよう祈ったりして使用したと伝わっているということです。
福井市自然史博物館によりますと、ニホンオオカミの骨を、魔よけとして使う風習は、ほかの地域でも確認されているということです。
福井市自然史博物館の学芸員の出口翔大さんは「ニホンオオカミは、日本動物学史上最大のミステリーとも呼ばれる動物で、寄贈の話を聞いたときは本当に驚いた。人間が絶滅させてしまったということを、ぜひ実物を目にして考えてほしい」と話していました。
寄贈された骨は、福井市自然史博物館で開かれる特別展で、ことし5月2日から公開される予定です。