敦賀市とも作品通じてゆかり漫画家の松本零士さん死去 85歳

「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」など壮大なSF作品で知られ、敦賀市とも作品を通じてゆかりのある漫画家の松本零士さんが、2月13日、急性心不全のため東京都内の病院で亡くなりました。
85歳でした。

松本零士さんは福岡県出身で、15歳のときに雑誌に投稿した漫画が掲載されてデビューし、その後、上京して本格的に漫画家の活動を始めました。
1971年に雑誌に連載した「男おいどん」が人気を博すと、1974年にテレビアニメとして放送された「宇宙戦艦ヤマト」の制作に関わり、映画化もされるなど若者を中心に爆発的な人気を集めました。
また、少年が列車に乗って宇宙を旅する「銀河鉄道999」や「宇宙海賊キャプテンハーロック」などは、テレビアニメとしても放送され、松本アニメのブームを巻き起こしました。
宇宙を舞台にしたロマンあふれる冒険活劇を独特の幻想的な絵柄で描く一方で、豊富な科学知識と取材にもとづいた宇宙船などの緻密な描写でも知られ、コックピットに整然と並ぶ計器類は「零士メーター」と呼ばれるなど、その後のSF作品に大きな影響を与えました。
また、陸軍のパイロットだった父親の戦争体験などをもとに「戦場漫画」と呼ばれるシリーズも半世紀にわたって書き続け、命の尊さを漫画を通じて訴えました。
こうした功績で2001年に紫綬褒章を受章したほか、2010年には旭日小綬章を受章しています。
また、海外でも高く評価され、2012年にはフランス芸術文化勲章を受章しています。
松本さんは、2019年11月に、イタリアを訪れていた際に体調を崩して病院に搬送され一時、集中治療室で治療を受けましたが、その後回復して日本に帰国していました。
松本さんは、2月13日、急性心不全のため東京都内の病院で亡くなりました。
85歳でした。

松本零士さんの作品に登場するキャラクターのブロンズ像が並ぶ敦賀市の商店街では、松本さんを惜しむ声が聞かれました。
古くから港と鉄道で栄えた敦賀市では、1999年の敦賀港開港100周年に合わせて、商工会議所と市が、松本さんの監修のもと、市のイメージと重なる「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」のキャラクターなどのブロンズ像28点を駅前と商店街を結ぶ歩道に設置しました。
松本さんが亡くなったことについて、敦賀市の70代の男性は「子どもが小さい時にブロンズ像の前で一緒に写真を撮りました。今では敦賀市の名物になっているので、亡くなったのは寂しいですね」と話していました。
また、80歳の女性は「ブロンズ像ができてから観光客の方が写真を撮影している姿をよく見かけたので、にぎわいにも貢献していると思います。『お疲れ様でした』と声をかけてあげたいです」と話していました。
商店街で文房具店を営む70代の男性は「とても悲しいです。ブロンズ像ができたあと、松本さんの作品を商店街のイベントのポスターに使いたいと電話で相談した際、『活性化につながるなら』と優しく声をかけてくださいました。ありがとうございましたと伝えたいです」と話していました。