被爆米兵研究家の森重昭さん 米大学院生らに講演

広島で被爆して亡くなったアメリカ兵の研究を続けている被爆者の森重昭さんがアメリカから訪れた大学院生らに講演を行い、アメリカ兵を敵ではなく、1人の人間として考えたことで遺族の苦しみを理解できた経験などを話しました。

広島を訪れたのは、アメリカの建築家、マイケル・マーフィー氏やジョージア工科大学の建築学科の大学院生などあわせて11人です。
平和公園にある建物や慰霊碑のデザインなどを調査するため、広島を訪れたのにあわせて、被爆したアメリカ兵の研究を続ける森さんの講演を聞くことになりました。
一行は森さんの案内で、原爆投下の目標になり、アメリカ兵の遺体も見つかったとされる「相生橋」を視察しました。
このあと、原爆資料館で行った講演で森さんは、▼自分が通っていた学校の近くでアメリカ兵捕虜が犠牲になったと知ったことが調査を始めるきっかけになったことや、▼犠牲となったアメリカ兵を敵ではなく、1人の人間として考えたことで遺族の苦しみを理解できた経験を伝え、調査結果を遺族に伝える活動も続けていることを紹介しました。
講演を聴いた大学院生は、「アメリカの原爆によって、多くの苦痛を経験したにもかかわらず、アメリカの犠牲者のことを遺族に伝える活動を行っていることはすばらしい」と話していました。
講演を終えた森さんは、「アメリカ兵の遺族と交流し、どれだけ彼らが深い苦しみを抱えているかを知った。平和について、もっと真剣に考えて戦争がない世の中を築いてほしい」と話していました。