「旧優生保護法で不妊手術を強制される」福岡の70代夫婦提訴

旧優生保護法をめぐる裁判では、各地で国に賠償を命じる判決が出ています。
こうした中、福岡県の70代の夫婦が旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されて子どもを持つ機会を奪われたなどとして、国に賠償を求める訴えを起こしました。
福岡地方裁判所に新たに訴えを起こしたのは、いずれも聴覚に障害のある福岡県内に住む70代の夫婦です。
訴えなどによりますと、夫婦は結婚する前に具体的な説明もないまま夫が不妊手術を受けさせられ精神的苦痛を受けたなどとして、国に対し1人につき2000万円の賠償を求めています。
夫は平成31年に病気になり、訴えを起こすことが難しくなりましたが、夫婦は、全国各地の裁判に励まされ、成年後見人を選任して提訴したということです。
旧優生保護法をめぐっては全国で同様の提訴が行われ、去年令和4年2月、大阪高等裁判所が初めて国に賠償を命じて以降、訴えを認める判決が7件、出ています。
提訴のあと原告と弁護士らは記者会見を開き、この中で妻は「もし手術をしなければ私にも子どもがいて孫もいたかもしれないと思い、毎日が暗い生活でした。裁判所には正しい判断をしていただきたい」と手話で訴えました。
ことし4月に、旧優生保護法の所管が厚生労働省から移管された子ども家庭庁は、提訴について「訴状が届いていないため、現時点でのコメントは差し控えます」としています。