戦後の引き揚げの歴史を伝える水子供養祭 筑紫野市

戦後、旧満州から引き揚げる際、不法な暴力によって妊娠した女性たちが中絶手術を受けた筑紫野市の保養所の跡地で14日、水子供養祭が行われました。
供養祭が行われたのは、筑紫野市の特別養護老人ホーム「むさし苑」にある水子地蔵の前です。
かつてこの場所には戦後、旧満州や朝鮮半島などから引き揚げる途中、ソ連軍などから暴行された女性たちに中絶手術や治療が行われた二日市保養所がありました。
昭和22年に施設が閉鎖されるまでの間に少なくとも200人が中絶手術を受けたとされ、供養祭では水子地蔵や「仁」の文字が刻まれた石碑の前に病院の関係者やホームの職員などおよそ40人が集まり、次々に焼香して手をあわせていました。
参列した大野城市の尾※ザキ満知子(83)さんは5歳の時に引き揚げを経験したということで、「私が当時、子どもでなかったらおなかに目の色が違う子を抱えて帰ってきたのではと思います。ここで水子供養があると知ってからずっとお参りにきています。戦争は本当にだめだと深く感じています」と話しました。
供養祭を主催した済生会二日市病院の壁村哲平院長は「亡くなられた水子の霊をおまつりするのは大事だと思います。今後どういう形になるか分からないけれど、続けていくことが非常に大事だと思います」と話していました。
(※ザキ=たつざき)