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脚本家のことば…金子成人 茂七の事件簿も今年で第3シリーズとなった。好評だったのだと、これは勝手に思い込んで密かに喜んでいる。制作に関わった皆さんのお陰だろう。 シリーズの最初から、これは事件簿となっているが、事件の謎解きが眼目ではなく、事件に絡む市井の人々の人間模様を描こうとした。その事件と言うのもまがまがしいものではなく、日常の中に点在するささやかな出来事として捉えようと考えていた。 何もなければ窺い知れなかった名もない人々の心のひだ、あるいは心の闇、ささやかな幸せ、そんなものを書きつづけてきた。 そんな意欲を触発させる魅力が宮部さんの原作にはある。 だから、書くに当たっては宮部さんに失望されないようにと言う思いが常にあった。 言ってみれば宮部さんの世界との闘いでもあったようだ。 |
| 演出のことば…加藤拓 近江屋藤兵衛が死んだ―釜の湯が沸き立つそば屋で噂がとびかう。「やったのは娘のお美津―回向院の茂七は、どうやらそうにらんでいるらしいぜ。」宮部みゆきさんの茂七シリーズが誕生する「片葉の芦」(第一話)の一節です。シリーズ三年の蓄積がこの文芸的かつ幻想的な作品の映像化を可能にしました。長屋の夫婦がまきこまれる、おかしくも哀しい事件の顛末を茂七が見守る「敵持ち」(第二話)、今年執筆されたばかりで単行本化されていない新作「鬼は外」(第三話)、宮部さんのもうひとつの人気シリーズのヒロイン「霊験お初」が登場する「迷い鳩」(第四話)、金子成人さんがドラマ化を熱望した「砂村新田」(第五話「ならず者」)。凝縮の五作品です。そして茂七の家の、あの陽だまりの縁側はもちろん健在です。―今年も茂七が面白い。 |
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制作にあたって…NHKエンタープライズ21・加賀田透 4月11日。出演者顔合わせのこの日、NHK・709リハーサル室には高橋英樹さん始めレギュラー陣が一年ぶりに顔をそろえ、再会を喜び合う声があちこちで聞かれました。キャスト・スタッフ一同、視聴者の皆さんからの熱いラブコールに支えられ、また「茂七」をやれるという喜びを感じながらクランクインを迎えました。 第3シリーズを迎えた茂七ファミリーは息もピッタリ。これまでスーパーヒーローばかりを演じてきた高橋英樹さんは、義母や娘にやりこめられる庶民派・茂七を心から楽しんでいるし、淡路恵子さんは「おかつ」役は誰にも渡したくない、とおっしゃいます。「お絹」こと星野真里さん、お嫁に行くシーンを作れなくてごめんなさい。でも三人の楽しいかけあいを、もっともっと見たかったのです。 今シリーズでは、「片葉の芦」を始め、ドラマ化を待ち望む声の多かった原作を選びました。各回の事件にかかわる人々の心情を、より深く、より細やかに描きました。どの回も、満足していただける仕上がりになっていると思います。どうぞご期待下さい。 |