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ドラマのみどころ

 公事宿とは、江戸時代に庶民の訴訟手続きなどの代行を行った、現代の司法書士・弁護士事務所と、その宿泊所の役割を果たした旅寵である。公事は、江戸時代の民事事件を指す。これらの裁判・判決のために人々が各地から江戸や京都に出てきた。だが、すぐに裁判が始まり、判決が出るというものではなく、それを待つ間に泊まったり、あれやこれやと提出書類を書いてもらったのが公事宿であった。訴訟や犯罪にまつわる人間模様が、日夜この公事宿で繰り広げられていた。
 江戸時代の京都を舞台に、正妻の子である弟に家督を譲り出奔した主人公・田村菊太郎が公事宿・鯉屋(
こいや)に居候しながら、京都東町奉行所同心組頭の弟を助け、事件を解決していく。頭も切れれば腕も立ち、義侠心も強く粋な男・菊太郎の推理と刃が人の心の闇に迫る痛快時代劇。


 

脚本にあたって

古田求

 主人公の田村菊太郎は、典型的な時代劇ヒーローです。剣の腕前は強く、女にもて、悪を憎む正義の味方です。
 但し、一寸(ちょっと)した作者の手違いで、少々優柔不断、感情過多でやたらと涙もろい上に、女にはかなり弱いタイプが出来上がりました。
 彼の家族はみな暖かく、互いに支え合い愛し合っている理想的な家族ですが、ここにもチと作者の不手際がございます。謹厳な人物である筈の父親は、菊太郎を芸者に生ませたりした為に美人の奥方に頭が上がらず、菊太郎の相似形になり果てております。見かけだけは賢夫人の母親は、育ちの良さからくる天真爛漫ぶりが男たちの手に負えず、叩けばカーンと音のしそうな堅物の弟夫婦が、そうした中に妙な違和感を醸し出しております。
 どこにでも有りそうで、一寸箍(たが)の外れたヒーロー時代劇。その一寸箍の外れたところを大いに楽しんで、脚本を書かせて頂きました。


制作にあたって

チーフプロデューサー・金井勉

 「居候三杯目にはそっと出し・・・」と言いますが、この公事宿の居候・田村菊太郎は、その辺がちょいと違います。居候を大いに楽しみ、周囲の人との関わりを実に楽しんでいるのです。
 興味本位で自分から事件に首を突っ込むのではなく、そこには愛すべき人、守るべき人との日頃からの付合いと関わりがある訳です。菊太郎は組織に縛られることなく、自由気ままにその日その日を大切に精一杯生きています。そして、世の理不尽さ、切なさに自然と涙を流してしまうその姿は、危なかしくもうらやましく思えてしまいます。当然、剣の腕は立つのですが、人情の機微に通じた菊太郎の市井の中での様が良いのです。とにかく不況にあえぐ今の世の中、視聴者の気持ちをスカッとさせてくれると思います。
 澤田ふじ子さんの「公事宿事件書留帳」は、殺伐とした事件よりは、哀愁に満ちた事件、落語の人情話のような事件が主体です。そして、舞台は京都です。江戸の話を京都で撮ることはありますが、今回は京の話しを京都で余すところなく撮影しています。京都ならではの人情や風情を濃厚に活かして描く、これまでと一味も二味も違う、新鮮な大阪放送局発の時代劇をお届けします。


 

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