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幼い頃の未来子・道朗
脚本家のことば・吉田紀子

  自閉症という障害を初めて認識したのは、
  十数年前、映画「レインマン」を観た時だったと思う。
  ダスティン・ホフマンの演技に圧倒され、感動というより
  重苦しさが先に立ち、映画館を後にした記憶がある。
  それが、唯一の自閉症体験だった。

  プロデューサーの阿部さんに、原作を渡された時
  正直、戸惑いの方が大きかった。

  こんな私が、簡単に脚本を引き受けていいのだろうか。
  判ったようなふりをして書くことはできるかもしれない。
  けれど、果たしてキチンと自閉症の方や、ご家族の気持ちに
  踏み込むことができるのか。そんな不安でいっぱいだった。

  しかし、原作の率直な文章に触れ、実際に島田さんご一家に
  お会いするうち、次第にその不安は、打ち消されていった。
  これは、自閉症のドラマではなく、自閉症という障害を持つ
  "家族の物語"なのだと気づいたからである。島田家の絆は固い。
  律子さんは「逃げていた」というけれど、子供の頃から弟さんを愛し
  それゆえ傷つき、周囲の目や自分自身と必死に戦いながら
  それでも彼を一度も、心の中から切り離したことはなかったのではないか?
  そう感じた時、この物語を書きたいと思った。

  あとは、私自身が、未来子に、道朗に、父に母になり
  出てきた言葉を素直に列ねてみた。

  ギリギリのところでの、切っても切れない家族の愛情。
  その普遍性を感じて頂ければ幸いである。

 脚本家プロフィール
  吉田 紀子(よしだ のりこ)
  1959年、山梨県生まれ。明治大学文学部卒。
  2年間のOL生活を経て、脚本家・倉本聰氏が主催する
  富良野塾に入りシナリオを学ぶ。主な作品に「恋を何年休んでますか」
  (TBS)、「できちゃった結婚」(CX)、「お見合い結婚」(CX)、
  卒業旅行(NTV)、「じんべえ」(CX)「めぐり逢い」(TBS)などがある。

脚本家のことば 演出にあたって 制作にあたって

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