2007年2月3日、10日放送

Vol.17 伊藤 健太郎さん
(『彩雲国物語』浪 燕青役)



(聞き手:かかず ゆみ)
--燕青の第一印象は?
伊藤:燕青の初登場シーンは、砂漠をザックザックと歩いているところだったんです。そこを後ろからカメラが回り込んでいくんだけど、まず口もとのアップになって……そのとき「ヒゲ濃い!!」って(笑)。今回はヒゲキャラか! と。とにかく視覚的にあのヒゲがね……もう、わっさわっさと生えてたから。
--実際に演じてみて、どんな人物だと思いました?
伊藤:とにかくふところが広いんだよね。いろんな人の話を聞くし、適切なアドバイスができる。人間できてるな、と思いました。人間ができてないオレが演じていいんだろうか?って(笑)。
--伊藤さんが演じるからこそ、あの燕青ができあがったのでは?
伊藤:お、いいこと言うね。
--はい(笑)。
伊藤:手前味噌ですが、演じていると燕青がとても魅力的に思えてくるのヨ。こういう男になりたいなあ、と思わせる。
--なぜ、燕青はこういう男になったんだと思いますか?
伊藤:人格形成の上で、過去の経験が大きかったんじゃないか。かなり波瀾万丈だったんでしょう。たぶん、弱みを見せられないような、そんな人生だったんじゃないかな。背伸びを続けて、がんばって、その経験値で自分が育ってきて、ふとまわりを見ると、ある程度ゆとりを持った自分というのを認識できたというか。気づいたらああいう燕青になっていた、という感じなんじゃないかな。
--燕青を演じる上で、そうした過去をふまえて気をつけている点は?
伊藤:あまり力まないようにしてる。これまで、かなり自己主張がある、熱い男(の役)が多かったんですよ。
--確かに伊藤さんにはそういうイメージもありますね(笑)。
伊藤:燕青は、あまりそちら寄りにはしたくなくて、意識的に台詞まわしや語尾ものら〜りくら〜り、ちょっと飄々とした感じにしてる。もちろん、アクションシーンになると、熱く「ハーッ!」「フーッ!」とかやるけど。オレ、好きなのよ、アクションシーン(笑)。
--印象に残っているシーンや、燕青の台詞はありますか?
伊藤:もう山のようにあって難しいんだけど……姫さん(秀麗)に、言葉や行動でいろいろなものを差し伸べて、姫さんがそれでふっと何かに気づくシーンかな。燕青の言葉によって秀麗が「あ、こうしよう」「ああしよう」って気づく、そういう部分がすごく印象に残ってる。あんなシーン、こんなシーンというより、姫さんが一歩成長した瞬間、それが僕の中で積み重なって、今の燕青像になっているのかな、と思う。でも、姫さんに言われて一番うれしかったのは「燕青って、空気みたいな人ね」という台詞です。これってすごい褒め言葉だと思うのね。空気って無くてはならないものだけど、決して邪魔はしない。自然にそこにいて、すごく大事なものを自分に供給してくれている、ということをさらっと言われたシーンが、とても印象的でした。
--燕青といえば、静蘭のことをずっと前から知っているようなんですが、彼のことはどう思っているんでしょうか?
伊藤:うーん、まあ、間違いなく好きだとは思うんだけど……。
--ラブではない?
伊藤:その方向じゃない(笑)。たぶんね、ほっておけないんだと思う。うらやましい部分もあるとは思うんだけど、見ていてまどろっこしいところもあるんだよね。「もっとこうすればいいのに」とか「むしろこうなってほしい」とか、その延長線上で、こいつには幸せになってほしい、と思っているんだろうと。ときどき台詞から、だれよりもヤツへの愛を感じることがある。
--後ろから見守っている、という形で?
伊藤:そうなんだよね。あんまり直球でアドバイスを投げてないね。一歩引いたところからボールをコロコロ投げている。ああいうタイプは「こうすれば?」と言うと、逆に怒られちゃうんだよーー。
--そういうところもわかった上で(笑)。いい関係ですよね。
伊藤:うん、ほんとにそう思う。
--(燕青と静蘭の二人が)戦ったら、ズバリどちらが強いでしょう?
伊藤:あんまりそういうシチュエーションはなさそうだけど(笑)、でもたぶん、俺が思うに燕青は本気を出さないと思う。本当に敵対関係になったとしても、ここまで深く付き合ってしまうと、本気を出せないタイプでしょう。実力は燕青のほうが上だけど、試合として、勝負としては、燕青が負けるだろうね。
--負けてあげちゃうのかな。
伊藤:でも死なないよ。
--そこはうまく?
伊藤:そう。うまくよける。死んで静蘭に重荷を背負わせるようなことはしない。
--静蘭に勝ちはあたえるけど、致命傷は負わないと。ふところが深いですね。
伊藤:ただ、これがバレるとまた怒られるんだ(笑)。「本気じゃなかったのか」とか言われて。
--そこをバレないように、できるんですね。
伊藤:そうそう。
--ほかにお気に入りのキャラクターはいますか?
伊藤:やっぱり姫さん(秀麗)なんだよな。ヒロインだし……その成長の過程に一番スポットが当たっているから、感情移入しちゃうんだよね。異性の僕から見ても、不思議にあの姫さんの成長過程には感情移入できちゃう。だから、幅広い人気があるんだろうね。
--女性として見たとき、ああいうタイプはどうですか?
伊藤:俺は、個人的には、あんまり背伸びされるより、もうちょっと甘えてくれるほうがいいかな(笑)。